郷原信郎(弁護士、関西大学社会安全学部客員教授)

 舛添東京都知事が、海外出張でのスイートルームでの宿泊等の高額の支出や、毎週湯河原の別荘の往復に公用車を使用していた問題等で批判を浴びている。

 橋下徹氏は、公用車使用の問題などで舛添氏を厳しく批判する一方で、「早く有能な舛添さんに戻って!」などと舛添氏の政治家としての能力・手腕を評価しているような言い方もしている。

 一方、人気ブロガーの木走正水氏は、【舛添氏の政治家としての真の問題点】で、舛添氏の政治家としての姿勢や組織のトップとしての資質についての問題を厳しく指摘している。

 私は、木走氏の意見に全面的に賛同する。

 舛添氏の政治姿勢はパフォーマンスそのものであり、組織のトップとしての姿勢に重大な問題がある。同様にパフォーマンスの塊のような政治家である(であった?)橋下氏が、舛添氏を政治家として評価するのも、もっともだと思える。今回の公用車問題が「舛添氏らしくない」という見方も、橋下氏ならでは、と言えよう。

 私は、舛添氏が厚生労働大臣であった2008年に、社会保険庁の不祥事の調査に調査委員会の委員として加わった経験から、同氏の組織のトップとしての姿勢に重大な疑問を持ち、著書等でも指摘してきた。

 当時、私は、厚生労働大臣直属の調査委員会の委員として、いわゆる「年金改ざん問題」(標準報酬月額遡及訂正問題)の調査に加わった。その調査の過程で、その問題によって社会保険庁職員が世の中から大きな誤解を受け、不当なバッシングを受けていることを知った。その誤解に基づくバッシングの原因となったのが、問題発覚当初から、事実関係を十分に確かめることもなく、社保庁職員を「犯罪者扱い」してこきおろし、大臣直属の調査委員会を立ち上げたことを大臣室にテレビカメラまで入れてアピールする、という「人気取りパフォーマンス」だった。
東京社会保険事務局の抜き打ち視察を行い、年金記録照合作業などをチェックした舛添要一・厚生労働相(中央)=2007年9月20日、東京都新宿区
東京社会保険事務局の抜き打ち視察を行い、年金記録照合作業などをチェックした舛添要一・厚生労働相(中央)=2007年9月20日、東京都新宿区
 もちろん、私も、数々の不祥事を起こしてきた社保庁の組織や職員に問題が多々あったことは否定しないし、全体として擁護する気持ちはない。しかし、少なくとも、厚生年金記録の「改ざん問題」に関しては、世の中には重大な誤解があり、社保庁職員に対する非難の多くが、的外れなものだった。

 そして、そのような誤解と不当な非難の大きな原因となったのが、社保庁を含む厚労省という組織のトップの地位にあった舛添厚労大臣の対応だった。日経ビジネスオンライン(NBO)の記事【「年金改ざん」批判は根拠のない「空中楼閣」 バッシングの元凶は舛添厚労大臣の「人気取りパフォーマンス」】、および著書【思考停止社会 「遵守」に蝕まれる日本】で指摘したとおりである。