[赤坂英一の野球丸]


赤坂英一 (スポーツライター)


 清原和博容疑者が覚醒剤取締法違反で逮捕されて以来、巨人でチームメートだった野村貴仁氏の言動が注目を集めている。野村氏の言うように、清原容疑者が巨人時代から覚醒剤を使うようになったのかどうかは、私にはわからない。ただ、野村氏が巨人に在籍していた1998~2001年、グリーニーという興奮剤を常用していたことならよく知っている。

これを使うたら違うぞ
ふだん眠っとるパワーが出てくるんや


 グリーニーとはアンフェタミン系の興奮剤で、日本の厚生労働省には医薬品として指定されていない。野村氏はこのグリーニーを釣りの道具箱のような小さなバッグに入れ、大きなショルダーバッグの中に忍ばせて持ち歩いていた。こっそりと使っていたわけではなく、結構大っぴらに選手や関係者の前でグリーニーを服用していたという。

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 宮崎キャンプでのこと、投げ込みをしようとブルペンに入った野村氏が突然、「あっ、グリーニーを忘れた! おれのバッグ取ってきてくれ!」と言い出し、後輩の若手に使い走りをさせた。その若手が野村氏のバッグの中味を見たところ、グリーニー以外にも筋肉増強剤のアナボリック・ステロイドなど様々な薬物がきれいに整理されて入っており、根深い〝中毒ぶり〟が感じられたという。グリーニーはオリックス時代、元大リーガーの外国人選手から勧められ、その選手のルートを通じて入手していた。「これを使うたら違うぞ。ふだん眠っとるパワーが出てくるんや」という野村氏に感化され、グリーニーに手を出した巨人の選手も何人かいる。私と親しい選手は「すぐやめた」と言っていたが。

 巨人や野村氏に限った話ではない。05年夏には週刊朝日が、ボビー・バレンタイン監督率いるロッテの選手10人近くがグリーニーを常用していると報道し、球界全体を揺るがす問題に発展した。ロッテが終始一貫、強硬に否定したことで騒動は収束したものの、球団は週刊朝日を名誉毀損で訴えておらず、灰色決着に終わったという印象は否めない。