山田順(ジャーナリスト)

 覚せい剤取締法違反に問われた元プロ野球選手、清原和博被告(48)の初公判が17日、東京地裁(吉戒純一裁判官)で開かれ、検察側の「求刑2年6カ月」をもって閉廷、判決は次回の5月31日の公判に持ち越されることになった。

 はたして、判決がどう出るかは未知数。しかし、今後の焦点は、清原被告が社会復帰を果たせるのか? 更生できるのか?に移ったことは間違いない。つまり、彼は再起ができるのか?ということだ。

 現在、このことに関してさまざまな観測がなされているが、それらを総合してみると、彼の再起への道はかなり厳しいのではないかと思う。

 それは、本人自身の問題がいちばん大きいが、彼を取り巻く人間たち、日本の社会、そしてマスコミが、覚醒剤常習犯の再起に関して十分に理解しているとは言い難いことにもある。

引退試合で、最後の対決を終えた巨人・清原和博内野手(右)と抱き合う
横浜・佐々木主浩投手=2005年8月9日、フルキャストスタジアム宮城
 今回の法廷で、弁護側の情状証人として出廷した佐々木主浩氏(48)は、清原被告の再起に関して責任を持つとまでは言わなかった。証言そのものは、清原被告との長年の友情に基づくもので、聞く者の心を揺さぶるに十分だった。

 しかし、今後、暖かく見守るだけでは清原被告は更生しない。また、父親の手紙も涙を誘ったが、すでに高齢の父親が十分に監督できるとは思えない。

 また、マスコミの関心は、今後、清原被告がどんな人脈のなかでどう生きていくのかのほうに関心がある。裁判前に早くも囁かれたのが、手記の出版だ。巨人時代、清原被告に「覚醒剤を調達をしてやった」と証言した野村貴仁氏(47)が裏で動いているという噂も流れていた。

 そこで、言っておきたいのは、清原被告の社会復帰は、ベッキーなどとはまったく違う次元の問題だということだ。ある程度の謹慎生活によってミソギを済ませ、そのうえで社会的に「反省したのだからもういいんじゃないか」という合意ができたとしても、それでは済まないということだ。

 なぜなら、清原被告は、完全な病人だからである。「覚醒剤依存症」という病気であり、これが治らないことには、厚生、復帰はできない。裁判によって、犯した罪への刑罰が決まる。そして、それをクリアすれば、元に戻っていいという話ではない。

 逮捕された後、清原被告が警視庁の調べに対して「覚醒剤をやめたいとは思っていた」と供述していることが報道された。また、公判でも「何度もやめようと思った」と証言した。しかし、その使用頻度に関しては口を濁した。

 つまり、やめたくてもやめられない。まだ、頭の中から覚醒剤が消えていない。これが、薬物依存という病気である。つまり、清原被告に必要なのは、第一に「治療」だ。