竹田恒泰(作家)  

 国連女子差別撤廃委員会が三月七日、日本への最終見解を発表した。しかし、産経新聞によると、当初案に「特に懸念を有している」として「皇室典範に男系男子の皇族のみに皇位継承権が継承されるとの規定を有している」と述べ、母方の系統に天皇を持つ女系の女子にも「皇位継承が可能となるよう皇室典範を改正すべきだ」と勧告する文言が含まれていたという。日本側はジュネーブ代表部行使が同委員会副委員長と面会し、反論して削除を求めた結果、最終見解では皇室典範に関する記述は削除されたらしい。ということは、日本側が抗議をしなければ、最終見解にこれが盛りこまれていたということだろう。
参院予算委員会で自民党の山谷えり子氏の質問に答える安倍晋三首相
=3月14日、国会(斎藤良雄撮影)
参院予算委員会で自民党の山谷えり子氏の質問に答える安倍晋三首相 =3月14日、国会(斎藤良雄撮影)
 国連女子差別撤廃委員会は、一九七九年に署名された女子差別撤廃条約の実施状況を審査する組織として設置され、外部専門家の委員によって構成されている。このような国連機関が、日本の皇位継承制度は性差別であると指摘することは、多くの日本人が想像もしていなかったことと思う。

 この点につき安倍晋三総理は十四日の参議院予算委員会で「わが国の皇位継承のあり方は条約のいう女子に対する差別を目的とするものではないことは明らかだ。撤廃委が皇室典範について取り上げることは全く適当ではない」と不快感を顕わにし、「わが国の皇室制度も諸外国の王室制度もそれぞれの国の歴史や伝統が背景にあり、国民の支持を得て今日に至っている」と発言した。当然であろう。

 日本は、二千年以上の長きにわたり、例外なく皇位は男系により継承されてきた。かつて百二十五代の歴代天皇のなかには、十代の女性天皇の例があるが、「先帝の娘」など、いずれも男系の女子であり、女帝の子が即位した事例はない。そのため、男系の血筋を受け継がない者が即位した例はない。国柄の根本を「国体」というが、皇位継承の原理は日本国の国体原理そのものである。したがって、これを国連などにとやかく言われる筋合いはない。

 確かに国連憲章第一条に、国連の目的の一つとして人権の尊重が掲げられているが、国民の自決、主権国家としての自決は、国連成立以前から国際社会で尊重されてきた基本事項である。果たして女子差別委員会は日本の皇室制度に文句を付けるにあたり、日本の文化や伝統を尊重し、あるいは敬意を表した形跡はあるだろうか。日本の国柄の根幹である皇室を尊重する態度を持っていただろうか。否、日本政府から抗議を受けて取り下げたことから、十分な検討を経ずに書き込まれたものであると思える。