黄文雄(評論家)

《徳間書店『世界に災難をばら撒き続ける 中国の戦争責任』より》

はじめに


 二〇一五年十月二十七日、アメリカはイージス駆逐艦を南シナ海に派遣し、中国が自国の領土だと主張し人工島の建設を進めているスービ(渚碧)礁の一二海里以内を航行させた。いわゆる「航行の自由作戦」(FONOP)である。

 中国は南シナ海を一方的に「自国の領海」とし、ベトナムやフィリピンなどの周辺国と衝突を繰り返してきたが、防空識別圏を勝手に設定するなどやりたい放題の状況に、アメリカの堪忍袋の緒がついに切れたのである。

 数年前には東シナ海の尖閣諸島をめぐり日本とも一触即発の事態となったことは記憶に新しいが、もちろん中国による東シナ海への侵略行為と日本に対する挑発は現在も進行中である。

 思い返せば、一九四九年の中華人民共和国の成立から、中国はチベット侵攻、中印国境紛争、中ソ国境紛争、中越戦争などを引き起こし、朝鮮戦争に介入するなど、戦争ばかりしてきた。そして現在も新たな紛争・戦争の種を撒き散らしているのだ。
 だが、それは共産党一党支配の中国に限ったことではない。歴史的に中国は、つねにアジアにおけるトラブルメーカーとなり続けてきた。とくに近代におけるアジアの紛争は、ほとんどが中国が原因となっている。中国が日本の「戦争責任」を執拗に追及している日中戦争も、実際にはその元凶は中国側にあった。

 列強の植民地となったアジア諸国の独立を妨げてきたのは華僑であり、そのために東南アジアでは華僑排斥運動が何度も繰り返されてきた。

 本書はそうした実態と「中国の戦争責任」を明らかにするとともに、中国はなぜこれほどまでに戦争をしたがるのか、中国人の伝統的な戦争観、侵略観、領土観などを解明し、これから日本、世界はどのように中国に対処すべきかを論考したものである。