それに、いまだに内輪受けというか、楽屋トークをやってしまうところが気になります。プロデューサーやスタッフが出演するなど、「知らないと笑えない」というケースが度々出てきます。そうしたノリはもともと、とんねるずさんの十八番ですが、90年代は内輪ネタが受け入れられる時代でしたし、みんなそういうものを知りたいと思っていました。「タレントって面白いな」とか、「裏が知りたい」とか。でも、今はそういうことに興味がある人が少なくなっているのでしょう。

 いまではもう、「めちゃイケ」は放送年月でいえば、「ドリフ大爆笑」を越えました。土曜午後8時という放送時間は、ドリフや「オレたちひょうきん族」などファミリーで楽しむバラエティ番組の伝統枠。「めちゃイケ」はその枠の最後の砦であって、フジテレビの象徴とも言える番組です。視聴率が落ちそうになると、大きな企画をぶち上げて視聴率をとってなんとかやってきたわけですが、最近は特番でも視聴率がとれなくなってきて、酷評されることも増えました。

フジテレビ系「めちゃ2イケてるッ!SP」 ナインティナインの矢部浩之(左)、岡村隆史
フジテレビ系「めちゃ2イケてるッ!SP」 ナインティナインの矢部浩之(左)、岡村隆史
 深夜時代から番組を見てきた一人として、企画の迷走は感じます。放送界はBPO(放送倫理・番組向上機構)を恐れて自主規制する風潮が強くなっていますが、「めちゃイケ」も何度か審議対象になりました。かつて「七人のしりとり侍」という人気コーナーがあって、罰ゲームとして負けた人をボコボコにするのですが、「いじめを助長する」とBPOに抗議が寄せられ、2001年に打ち切られました。芸人同士、信頼関係でやっている「お約束」なのですが、それはもう通用しないのです。2014年にはSTAP騒動の小保方(晴子)さんのパロディが批判を受けてお蔵入りしてしまいました。以前だったら放送してから怒られていたのですが、現在は事前情報だけで追い込まれてしまっているのです。

 自主規制やネットを中心にした批判の影響か、「めちゃイケ」の企画の立て方に迷いを感じることが多くなりました。たとえば、今年2月に「痔7」と題した痔のタレントを7人集めた企画があったのですが、夕食の時間帯ですし、苦情も多かったと聞いています。「BPOを意識しながら、視聴率がとれるもの」となると、グルメだったり健康だったり、情報番組のような企画になってしまうのが、制作サイドにとってはつらいところ。視聴率を意識しながら「めちゃイケ」らしさを出そうとしていて、変な方向にいってしまったという企画でした。もっと単純に笑わせてくれればいいのではないか、と思いますが、それが難しい時代といえばそうなのかもしれません。

 これは「めちゃイケ」というより、テレビ業界全体の責任ともいえます。いま、バラエティ番組は、グルメや雑学をテーマにしたものが増えて、夜の時間帯でも生活情報番組化が進んでいます。コント番組もほとんどなくなってしまいましたし、特番では成立してもレギュラーになると視聴率がとれないため、各局は無難な生活情報番組を選んでしまうのです。すべての元凶は、視聴率にこだわりすぎていること。そんな中でも、めちゃイケは色々なことにチャレンジしていますし、存在意義がある番組だと思います。だからこそ、視聴率に一喜一憂するのではなく、笑えるだけでまったくためにならないようなバカバカしいことをやり続けてほしいですね。(聞き手・iRONNA編集部 川畑希望)

きむら・たかし コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。