安倍宏行(Japan In-depth 編集長)

 「日本に報道の自由はない」とか「安倍政権がメディアに圧力をかけている」との批判が活字メディアを中心に頻繁に見られる。論拠によく上がるのが、

1.パリに本部を置くNGO「国境なき記者団」が発表した「報道の自由ランキング」で、日本が180ヵ国中、72位

2.高市早苗総務大臣の停波発言

3.直言キャスターの一斉降板

4.国連特別報告者のデービッド・ケイ氏(米カリフォルニア大アーバイン校教授)の調査報告。

などだ。

 1は正直このNGOの実態がよくわからないので、何故72位なのか不明だが、2から4まではかなり恣意的な要素が入っていると思われる。安倍政権に批判的な勢力が主張しているように見えるのだ。

 2013年にテレビ局を辞し、フリーのジャーナリストとして独立して以来、政府の報道に対する圧力はあるか、と幾度となく既存メディア(特に新聞、雑誌)から取材を受けたが、いつも「干渉が全くないかと言うとそんなことはないが、圧力というほどのものは感じたことが無い。それによって自分の記事の内容がゆがめられたこともない。」と答えてきた。21年間の記者生活で「政治の圧力」を感じたことが無いのだから正直にそう答えたまでだ。ついでに言うと「スポンサーの圧力」を指摘する声も多いが、それも一度たりとも感じたことはない。

 さて、ではなぜこれほどまで執拗に「日本に報道の自由がない」という言説が跋扈するのか。それはひとえに既存メディアである新聞、テレビの報道姿勢にあると筆者はみている。とりわけ、年が明けてから政治スキャンダルなどのスクープで息を吐いている週刊文春をはじめとする週刊誌ジャーナリズムの元気がいいから、余計に既存メディアの消極的な報道姿勢が目立つ。

 特にテレビだ。「自主規制」という言葉がしっくりくるが、テレビの報道姿勢が非常にあいまいになっている印象を持つ。この春、古舘伊知郎(テレ朝系「報道ステーション」)、国谷裕子(NHK「クローズアップ現代」)、岸井成格(TBS系「NEWS23」)が降板したが、これは政府の圧力というより、テレビ局がさまざまな理由から判断して彼らを降ろした、というのが本当のところだろう。各局ともにその理由はさまざまだが、その背景にあるのは局幹部の過剰な「リスク管理」意識、いや「忖度」したといってもいい。