仲野博文(ジャーナリスト)

「核兵器廃絶」を訴えパレードする被爆者ら=2015年4月、ニューヨーク(共同)
「核兵器廃絶」を訴えパレードする被爆者ら=2015年4月、ニューヨーク(共同)
 27日夕に被爆地広島を訪問したアメリカのオバマ大統領。現職のアメリカ大統領による初の広島訪問は、オバマ大統領自身が2009年4月にチェコで「核なき世界」を目指すと訴えたプラハ演説を行ったこともあり、数時間の広島滞在で何を行い、どのような言葉を発するのかに注目が集まった。

 核兵器を実戦使用した唯一の国であるアメリカの大統領が、原爆投下から71年を経て広島を訪問することになり、広島市の平和記念公園周辺には多くの人が集まっていた。外国メディアの関係者も少なくなく、伊勢志摩サミットの取材で来日したドイツ公共放送の女性記者は、平和公園記念公園で筆者に対し、「現職の米大統領による広島訪問そのものが歴史的な瞬間だ」と語ってくれた。

 オバマ大統領が1期目から自らに課した大きなタスクの一つが、核軍縮と核不拡散の推進だ。しかし、「核兵器を無くす」という考えにはアメリカ国内でも世論が二分している。
 CNNが2010年に実施した世論調査では、回答者の49%が「アメリカを含む数か国は、他国の攻撃に備えて核兵器を保有すべき」と答えている。同様の調査が行われた1988年、回答者の56%が「世界中からすべての核兵器を無くすべき」と答えていたが、冷戦終結後の現在の方が核兵器保有を支持する声が多いのは皮肉な話だ。

 核兵器を巡る世論調査には、第二次世界大戦末期に広島と長崎における原爆投下の「正当性」に関するものもある。こちらに関しては、時間の経過とともに原爆投下に否定的な見方をするアメリカ人が増えてきているが、「原爆を使用しなければ、より多くのアメリカ人が戦地で命を落としていた」という考えはアメリカ社会に根強く残っている。