PHP研究所経営理念研究本部

「松下幸之助.com」月刊松下幸之助 より)

  昨今の「いじめ問題」など、課題が噴出し続ける日本の教育現場。いま日本国民にとって最大の関心事の1つとなっている「教育」のあり方について考え続けた、松下幸之助の論考・提言をご紹介します。

 弊PHP研究所創設者・松下幸之助は、企業における人材育成の重要性を説くとともに、学校教育にも大いに関心を寄せていました。教育は国家百年の計ともいわれますが、教育問題に言及した松下の数多くの記録・提言に通底しているのは、「礼節」「道徳」「愛国心」といった、人間としての基本的側面を重視していたことです。そして、そうした日本人としての「躾」を義務教育でしっかりとおこなう一方で、「万差億別」の教育を実現することによって、人それぞれがそれぞれの才能を最大限発揮しつつ、調和のとれた、ともに生きともに栄える社会をつくり上げていく――それが松下の念願でした。
 松下は、「大学が多すぎる」こと、教育の現場に「きびしさが欠けている」ことなど、いまも問題視されている課題にも触れていました。そして個々の現場での青少年教育については、みずからの企業人としての(人材育成面での)成功体験からか、青少年に対してより、その青少年を育成・指導する立場にあるおとな(企業でいえばリーダー、学校・家庭教育では教師と親)に対しての責任を、強く問うていました。

 のちに「モンスター・ペアレント」などという言葉が生まれる異常事態を、明治生まれの松下が想像していたかどうかはわかりません。しかしその考え方は、これからの日本の教育再建における一つの思考軸として、参考にしていただけるのではないでしょうか。

 過去に導入され、社会問題化した「ゆとり教育」なども、個性の重視という点では、松下の考え方と一見似通っているようにみえるものの、実際はまったく相容れない根本的相違があります。いま深刻な問題となっている「いじめ」問題についても、その陰湿さは許しがたいものがありますが、そうであっても、おとな側の責任を、やはり松下は厳しく問うたことでしょう。

 以下に、松下が青少年育成について、みずからの考えを端的に示した論考をご紹介します。松下が願った日本の教育のあるべき姿が見えてくる内容となっています。