碓井真史(新潟青陵大学大学院教授)


「しつけ」で置き去りにされた子どもが行方不明に


 北海道七飯町の山林で、叱られた子どもが行方不明になっています。

 両親は「言うことを聞かなかったことがあり、しつけとして置いてきた」と話しているという。

~「本当のことを言うと(虐待をしたなどと)疑われるかもしれず、世間体を気にした。多くの皆さんに迷惑をかけ、申し訳ない気持ちでいっぱいです」とわびた。

 別の報道では、父親は穏やかな人とも報道されています。

 道警函館中央署によると、大和君の両親は「しつけのため置き去りにした」と説明。こういうことは初めてと話しており、同署は虐待の可能性はないとみている。


叱り方トラブルは、不慣れな叱り方で発生する


 叱ることによるトラブルは、しばしば叱り慣れていないケースで発生します。今回の詳細は不明ですが、たとえば殴って指導することが日常的にあった時代は、殴り慣れている人と、殴られ慣れている人同士でしたので、意外と大怪我は発生しませんでした。
3日に無事保護された児童が行方不明になった現場付近=5月30日午前、北海道七飯町(共同通信社ヘリから)
3日に無事保護された児童が行方不明になった現場付近=5月30日午前、北海道七飯町(共同通信社ヘリから)
 殴る前に「歯をくいしばれ」と言われてそのようにすれば、口の中を切るケガは防げます。戦争中に、上官が部下の尻を棒で殴るようなケースでも、上官は尾てい骨を折るような殴り方は決してしません。天皇陛下からお預かりした兵士を怪我をさせ、戦線離脱などになれば、上官も責任が問われます。

 尻がはれ上がることはあっても、入院が必要な大怪我は負わせないわけです。殴られるほうも、下手に逃げて変なところを殴られては困りますから、倒れないような姿勢をとり、逃げずにじっと我慢します。

 また、日常的に鉄拳制裁による指導(殴って教える指導)が行われている時代、社会では、殴られた場合の心理的傷も、比較的軽いものになるでしょう。

 ところが、殴り慣れていない教師が、ついカッとなって、殴られ慣れていない生徒を殴ったりすると、倒れて頭を打ったり、鼓膜が破れたりする事故が起きやすくなります。また、大怪我をしなくても、心理的ダメージはとても大きくなるでしょう。

叱るときは様子を見ながら


 虐待も体罰も、もちろんだめです。しかしその是非はともかくとして、たとえばカツオ君が波平さんに物置に閉じ込めるような叱り方も、この子をそのような状況に置けばどうなるのかがわかっていれば、危険は避けられます。

 カツオ君は、以前から何度かそのような叱られ方をしてきたのでしょう。小さいときは、今よりも軽い叱られ方だったでしょう。もしも、カツオ君が閉所恐怖症で、暗くて狭いところに入れたら過呼吸を起こして大変だといううなら、両親は早い段階で気づき、もうそんなことはしないでしょう。

 何度か同じような叱り方をしながら、様子を見ながら、年齢に応じた叱り方を、親も学びんでいきます。

 年齢が上がるほどきつい叱り方になるだけではなく、小さいころなら頭ごなしに叱っても通用したことが、思春期になればかえって反発するようになりますから、年齢に応じた叱り方を親は学んでいくでしょう。