ところでこの報告のきっかけとなった有名な平山論文(論文と呼べるものかどうか怪しいが)ではタバコを吸う夫とともに生活をしていた40才以上の「タバコを吸わない妻」約9200人を調査し、そのうちの174人が肺がんで死んでいるので、「タバコを吸う人と一緒に生活していた妻は肺がんになる」という結論を出しています。

  この場合は、「タバコを吸っていた夫とともに生活し、肺がんで死んだ妻」は、530人に1人という低率です。530人のうち1人が肺がんで死んだという事実を正直に表現すると、「夫が喫煙者でも肺がんにはならない。極めて希に肺がんになる妻もいるが、あまりにその割合が低いので、他の原因も考えられる」とするべきでしょう。

  というのは、肺がんの原因は、タバコの他に、排気ガス、空気の汚れ、核実験の放射性降下物、台所や家の中のほこり、農薬や殺虫剤の粉など多種類があるからです。これらの発ガン率の範囲に入ります。

  科学としてこの調査を見ると、「タバコ以外の要因」をまったく無視しています。おそらくタバコを吸う家庭の平均収入は、吸わない家庭に対して低いと考えられますし、町中のアパートに住んでいる人が多いと考えられますので、自動車の排気ガスもより多く吸っているはずですし、衛生環境自体も望ましくないでしょう。

  科学的に整理するもので、何かに注目するのは良いのですが、注目したもの以外の原因を無視すると正しい結果は得られません。温暖化騒動が盛んだった頃、「最近は気温が高くなった」ということと「最近はCO2濃度が上がっている」という二つを結びつけて、「CO2が上がると気温が高くなる」という人がいました。気温は太陽活動や都市化などいろいろなものが関係しますから、CO2にだけ注目すると、CO2が原因という結果が得られます。

  当時、私はそのような説明をする学者に、「最近、私の年齢が上がってきていますので、私が歳を取ると気温が高くなるのではないですか?」と冷やかしたものです。このデータは日本の厚労省などが「副流煙は危険だ」という基礎的なデータになっていますが、実に不誠実なものであることがわかります。

  このほかにもアメリカ保険局などのデータがありますが、いずれも「結論ありきで整理した」というもので、とうてい、国民の健康を心配したようなまじめなものではないものばかりです。大きな研究費と出世が絡んでいる研究を私はイヤと言うほど見てきましたが、その多くがこのようないい加減なデータで決定的なことを言う場合が多いのです。

  学問への誠実さ、研究者の倫理をシッカリしてもらいたいものです。実はこの研究グループのトップが食品汚染の暫定基準を決めるときに「食料が足りなくなるから、基準は高くする」と発言した人で、セシウムで1年5ミリ、全核種で約17ミリの被曝を給食でさせました。このような人は、いつもその時、その時、ですね。(2012.5.4ブログより転載)