1箱千円で4兆円 消費増税延期の間にたばこの大幅増税を

本山勝寛

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本山勝寛(作家)

 今年も5月31日の「世界禁煙デー」を迎えた。WHOは毎年約600万人がタバコが原因で死亡しており、そのうち60万人は副流煙が原因、このまま放っておくと2030年にはタバコが要因の死亡者は毎年800万人に増加すると警鐘を鳴らしている。広告の禁止や健康被害の明示といった禁煙政策は国際的な潮流になっているが、そのなかでもタバコ税の引き上げは有効な政策としてWHOにも推奨されている。

 タバコ税引き上げは健康の問題と同時に、税収確保と合わせて論じられることが多い。以前の記事「「世界禁煙デー」にタバコ増税の効果を考える」で書いたが、2010年のタバコ増税(70円増税100円値上げ)後、タバコ税収は激増している。2010年度のたばこ税8224億円が2011年度には1兆315億円と2千億円増加、これに「地方たばこ税」の増加分を合わせると、税収は4千億円増加した。

 増税後のタバコ税収は高止まりしており、2012年度の(国の)たばこ税1兆200億円、2013年度1兆400億円だ。タバコ増税反対派は、増税したら消費量が減るから税収は下がると反対していたが、そうはなっていないことが見てとれる。

 私は昨年、「消費税10%の前にタバコ千円」への増税実施を提案した。現在の心許ない景気状況を考えると、2年連続の消費税増税は国民への大きな負担になるが、タバコ税の増税であれば景気への影響も限定的であるし、国民の健康増進や医療費抑制にもつながる施策であるからだ。実際、消費税10%への引き上げは延長された。
 しかし、消費税が増税されない分、財政再建は先送りになり、子育て支援や社会保障費などの財源も不足するままだ。それでは、借金を次世代に押し付けているのと同じだ。消費税増税を先送りしているこの期間だからこそ、タバコ税の大幅増税を実施することで、少しでも財政再建につながる。学術会議の試算(2008年)によると、200円増税で1兆4千億円、300円増税で2兆円、1箱1000円まで増税すれば4兆円の税収増としている。国際的にみればタバコ1箱1000円が先進国の平均的な数字だ。隣国韓国ですら、一気に2000ウォン(約220円)引き上げて、4500ウォン(約500円)に増税したばかりだ。

 2020年には東京オリンピック・パラリンピックも開催されるが、首都圏の分煙政策が遅れていることも気になるところだ。分煙化の費用をタバコ税収からまかない加速化させることで、副流煙被害も防ぎ、国際社会にも恥ずかしくない状況にもってこれる。個人の嗜好品であるタバコを「禁止」することは避けるべきだが、副流煙被害を防ぐことは交通事故や公害を防止するのと同様に政府の責任でもある。
(ブログ『本山勝寛: 学びのすすめ』より2015年6月1日分を転載)

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