河治良幸(スポーツライター)


【グループC】ドイツ2−0ウクライナ


 大会3日目を迎えたEURO2016は優勝候補のドイツが登場。C組の初戦はフランス北部のリールでウクライナと対戦した。ここまでフランス×ルーマニアの開幕戦から6試合が全て1点差と接戦が続くが、ドイツも“伏兵”のウクライナに苦しい試合を強いられることとなったが、手に汗握る攻防に“決着”を付けたのはベテランの一振りだった。

 ともに4−2−3−1というシステムで向かい合う両者。ドイツが中盤でボールを持つが、ウクライナはタイトな守備ブロックで行く手を阻み、ボールを奪うと素早いサイドの展開からグラウンダーのクロスにアタッカーが飛び出して合わせに行く。最初に大きなチャンスを得たのはウクライナ。中央から右への展開を起点にサイドバックのフェデツキが縦パスをMFコバレンコに出すと、一度はドイツの左サイドバックであるヘクトルがカットしたボールをスライディングで奪い返し、倒れながらも中央にグラウンダーのクロスを送る。

ボールをクリアーする独GK・ノイアー(右)=AP
ボールをクリアーする独GK・ノイアー(右)=AP
 ペナルティエリアのすぐ手前を転がってきたボールに中央で合わせたのはコノプリャンカ。ヨーロッパリーグを制したセビージャに所属する右利きの左ウィングは対面するドイツ右サイドバックのヘーベデスより一瞬早くポイントに入ると右足を一閃。鋭い弾道がゴールを襲ったが、世界最高峰の名手として知られるGKノイアーが横っ跳びからパンチングでボールを弾き出した。

 早すぎる失点をまぬがれたドイツは入り替わりが激しい攻防の中でもアタッカーが積極的に打開をはかる。そして相手のスローインを奪った流れから右サイドでトマス・ミュラーが仕掛けるとセンターバックのラキツキが荒々しいタックルで倒し、ドイツがFKのチャンスを得た。左利きのエジルと右利きのトニ・クロースがボールの前に立つが、蹴ったのはトニ・クロース。奇麗な放物線を描いてゴール前に落下してきたボールに長身センターバックのムスタフィが頭で合わせると、GKピアトフが一歩も動けないスピードでゴールに突き刺さった。

 実力で勝るチームが前半の早い時間帯にセットプレーなどから先制点をあげた場合、リードした側が試合の主導権を握るのはサッカーの普遍的なセオリーだ。しかし、そこからより相手ゴールを脅かしたのはウクライナだった。ドイツは引き続き中盤でボールを回しながら慎重に追加点を狙ったが、ウクライナがボールを奪うと素早くドイツ陣内まで攻め上がる。前半29分にはトニ・クロースのロングパスに大型ボランチのサミ・ケディラが飛び出し、GKピアトフと1対1のシーンを作ったが、左足のシュートはウクライナ守護神の勇敢なセービングに阻まれた。