両角敏明(テレビディレクター/プロデューサー)

メディアゴンより転載)
 石原慎太郎氏が書いた『天才』がきっかけでしょうか、田中角栄元首相の再評価が進んでいるようです。

自民党臨時党大会で第6代総裁に選ばれ、右手を挙げる
田中角栄通産相=昭和47年7月5日
 田中角栄元首相は政治の『天才』だったのかもしれませんが、ありとあらゆる手法を駆使した裏金作りと税金逃れの『天才』だったことは立花隆氏の著作により明らかです。

 世の中には形ばかりの法人を作って節税をはかる方が少なくありません。また法人に実態があっても、自家用車を社用車にしたり、個人別荘を法人の福利厚生施設にしたり、家族旅行を会社の出張扱いにするなどの税金逃れはよく聞く話です。

 脱税は違法ですが、節税や税金逃れは手続きが整っていればおとがめはありません。『ルールに従っているから問題ない』ということです。

 では、税務署長が法の抜け穴を探して節税や税金逃れに熱心だったらどうでしょう。違法でなければ問題はないのでしょうか。総理大臣ならどうでしょう。


 田中金脈が騒がれたころ、立花隆氏の著作を読みながら、形式的には違法と言えなくても総理大臣が節税や税金逃れに走るってどうなの?と思いました。総理大臣は税務署長の行政組織上の最上位者であり、もとより国民に公平に税を納めることを求める立場なのですから。

 下種の勘ぐりと言われそうですが、今回の舛添要一都知事のニュースを視ていると、どうしても同様の疑問を感じてしまいます。

 問題の湯河原の別荘、表札には株式会社舛添政治経済研究所とあります。別荘は舛添さん個人の所有ではないようです。

 世田谷の立派なご自宅も同じ株式会社舛添政治経済研究所からの賃借の形をとり、高額な家賃のやりとりが問題になったことがありました。

 株式会社舛添政治経済研究所の社長は舛添さんの奥様です。役員に親族の名前もあるとか。社長である奥様に政治や経済を研究されているような経歴は見当たりません。

 実態としてどの程度、研究やシンクタンク機能を果たしているのかうかがい知れません。また報道によれば株は舛添要一さんが全株所有されています。要するに典型的なファミリー企業のように受け取れます。

 世間によくあるこの形は、舛添さん個人と株式会社舛添政治経済研究所との間で、公私の区別が見分けにくく、筆者から見ると節税や税金逃れ、あるいは個人資産隠しのご努力をされているような感じがしないでもありません。もちろん仮に節税行為があったとしてもすべて合法に処理され、『ルールに従っているのだから問題はまったくない』とおっしゃるのでしょうが。