河治良幸(スポーツライター)


【グループE】ベルギー0−2イタリア

 前回準優勝の“アズーリ”ことイタリアが優勝候補の一角にもあげられるベルギーの攻撃を封じ込め、攻めてはMFエマヌエレ・ジャッケリーニとFWグラツィイアーノ・ペッレのゴールで2−0と勝利。前評判は決して高くなかったイタリアだが、コンテ監督が復活させた伝統的な堅守と絵に描いたようなカウンターを融合した“カテナチオの国”らしい戦いぶりで大会屈指のタレント軍団を凌駕した。

 立ち上がりから目を見張ったのが“機能美”という表現がふさわしいほどの統率された守備組織だ。最終ラインの背後に百戦錬磨の守護神ジャンルイジ・ブッフォンが構える3−5−2の布陣はマッテオ・ダルミアンとアントニオ・カンドレーバという左右のウィングバックが全体の高さ、ボールの位置に応じて上下動することにより、3−3−4にも5−3−2にも可変する陣形で、エデン・アザールとケビン・デ・ブライネを左右のウィングに配するベルギーのワイドアタックに立ちはだかった。
【イタリア-ベルギー】前半、先制ゴールを決めるイタリアのジャッケリーニ(右から2人目)=リヨン(AP)
【イタリア-ベルギー】前半、先制ゴールを決めるイタリアのジャッケリーニ(右から2人目)=リヨン(AP)
 高い個人能力を押し出してイタリア陣内に攻めかかるベルギーに対し、1人が突破されかけても周囲の選手が素早いカバーリングでチェックし、強引に入れてくるクロスや合間を狙ったスルーパスはアンドレア・バルザーリ、レオナルド・ボヌッチ、ジョルジョ・キエッリーニの3バックが熟練したポジショニングと読みでカットした。前半10分にはFWロメル・ルカクとMFマルアン・フェライニの巨漢コンビによるヘッドのつなぎから、イタリア・セリエAのローマでプレーするMFラジャ・ナインゴランが強烈な右足のミドルシュートを放つも、GKブッフォンが見事にセーブした。

 ボールを保持しながら進路をふさがれ、なかなかチャンスを作り出せないベルギーに対し、イタリアは前半30分にロングパスを起点として右サイドからカンドレーバが惜しいクロスを上げると、直後の流れから待望の先制ゴールをあげる。後方から隙を見て攻め上がったキエッリーニが敵陣中央でルカクに倒されると、リスタートからワイドにボールを回し、DFボヌッチが右足のロングパスをベルギーDFラインの裏に送る。タイミング良く飛び出したMFエマヌエレ・ジャッケリーニが左足のトラップから、若き名手として知られるGKティボー・クルトワの右を破るシュートでゴールネットを揺らした。