鈴木哲夫(政治ジャーナリスト)

 東京都議会の与党で圧倒的な強さを誇る自民党と公明党。ところが、今回舛添要一都知事の辞任騒動の最中に、自民党ベテラン都議がこんなことを言った。

 「実は1995年以来、もう20年以上もゼロからじっくり都知事候補を出せていないんだ」

 確かに言われてみればそうだ。95年は青島幸男氏、99年は明石康氏を擁立したが石原慎太郎氏に敗れ、その後の猪瀬直樹氏にしても舛添氏にしても、自公が十分に吟味して戦略的に与党として立てた候補ではなかった。

 だが、自公のうまさは、誕生した知事をうまく手のひらに乗せコントロールするところだ。たとえば自民党は慎太郎氏の息子たちを抱えることで、いわば「人質」(前出ベテラン)として使うなどうまく折衝したりした。猪瀬氏も舛添氏もアメやムチを使い分け実質与党の立場をキープしてきたから、実は生粋の自公の候補を出していなかったことはついつい忘れられがちだったのだ。

 今回舛添氏の辞任問題で、いよいよ前出ベテランが「今度はきっちり自公候補を」と言うのは、そうしたいわば「後(あと)乗り知事」ではまた何が起きるか分からないという思いだろう。舛添氏の辞任問題が浮上すると同時に、自民党内では並行して知事選候補を模索する動きが早々に見えてきていた。

舛添要一東京都知事と面会した日本重量挙げ協会の小池百合子会長ら=2月26日、東京都庁
舛添要一東京都知事と面会した日本重量挙げ協会の小池百合子会長ら=2月26日、東京都庁
 本命は小池百合子衆議院議員だと話すのは自民党の東京選出国会議員だ。
 「政治のこれからのキーワードは女性だ。女性初の都知事。しかも東京オリンピックでは世界の舞台に立つという歴史的な役割を果たす。小池さんは、このまま国政で行くよりは知事の方が絶対いい」
 本人は名前が出ていることに対して可能性を否定し、一部自民党の長老からは反対の声も出ていると言うが、前出国会議員は「長老が何と言おうと決めるのは東京自民党。都連みんなでお膳立てすれば小池さんも乗ってくれる」という。

 これに対して、大穴として石原伸晃経済財政担当相の名前を挙げるのは、自民党東京都議数人だ。中でも都議団幹部の一人は「オヤジ(慎太郎氏)を傍で見てきて都政に明るい。長く都連会長も務め都議団やドンの内田氏との関係もいい。ポスト安倍で労力を費やすよりは、今後3期12年都知事として政治家の仕上げをすればいい」と話す。