八幡和郎(徳島文理大教授、評論家)

 とうとう舛添要一都知事が辞職願を提出した。海外出張の際のホテル、ファーストクラス利用については制度を議論すればいいし、公用車はせいぜい費用を返還するかどうかという話だ。騒ぎのきっかけになった韓国人学校の問題も取り消せばいいだけ。個人の政治団体の少額の不適切使用も解職理由にはならない。

 しかし、あまりの対応の悪さで、参議院選挙を前に与党も守りようがなくなったということか。というより、都議会対策を疎かにした報いか。マスコミも普通はやり過ぎと指摘するのが仕事だが、まったくのポピュリスト的報道に終始した。

都知事選で当選確実となり、選挙事務所で支援者から花束を受け取る
舛添要一氏(左)と雅美夫人=2014年2月9日(松本健吾撮影)
 もっとも、これまで知事や市長の解職は刑事事件化するか、事件に発展しそうでなければほとんど成功しなかった。少々のスキャンダルや議会や職員との不適切な対応があっても、だいたい再選されるという異常が続いていたという意味で、これから首長も議員もどしどしクビに出来る前例が出来たことはそれはそれで良いかと思う。

 さて、ポスト舛添に向けて、アイドルグループ・嵐のメンバー、櫻井翔のパパである桜井俊総務事務次官の名前が取り沙汰されている。タレントの父親としてスキャンダルにはとくに気を遣っていただろうから、叩いても埃がでないし、近く退官する現役の官僚で実務能力には問題ないから有力候補になるかもしれない。

 ただ、次の都知事は東京五輪を控え、語学力も含めて国際的なコミュニケーション能力が大事であり、経歴を見る限りその点が物足りない。

 過去に出馬したなかでは、宇都宮健児氏は立候補する可能性が大だが、これは参加賞に終わるとみるのが普通だ。東国原英夫氏は、舛添氏がこの程度の軽微なスキャンダルで辞めたあとでは苦しい。

 それは石原伸晃経済再生相も同様で、冷静に考えれば、舛添氏が辞めねばならないのだから、「真っ黒け」だった石原慎太郎知事時代のことを蒸し返されてしまうだけだろう。

 自民党の政治家のなかでは、小池百合子元防衛相、林芳正前農相、岸田文雄外相あたりが適任者か。三人とも語学力も含めた国際的なコミュニケーション能力、実務能力などからいって申し分ない。岸田氏は安倍後継の有力候補だから難しいだろうが、林氏は地元山口県で安倍首相と同じ選挙区で衆議院転出の見込みもつかず、このままでは期待されながら鳴かず飛ばずで終わりかねないので、心機一転、立候補してお国替えするのもいいのではないか。

 二人とも選挙区は東京でないが、両方とも通産官僚の子として東京で生まれ、岸田氏は麹町中学、開成高校、早稲田大学、林氏は小学校の途中で下関に引っ越したが、大学入学で東京に戻っている。

 小池氏はもっとも出馬しやすい立場だが、はたして、本人が舛添氏のように重箱の隅をつつかれても大丈夫という自信があるかどうかにかかっている。丸川珠代環境相は閣僚経験に加えて、地球温暖化パリ会議で国際経験を積んだ。

 東京選出の国会議員では、蓮舫民進党代表代行が小池氏とともによく名前が出る。首都に元外国人の女性知事というのは、スペイン出身のイダルゴ・パリ市長を思わせ、日本のイメージ向上につながるかもしれないが、本人の日本国家に対する忠誠度にかなり疑問がある。菅直人元首相というウルトラCは突っ込みどころ満載で厳しい。