小原凡司(東京財団研究員・政策プロデューサー)

《徳間書店『世界を威嚇する軍事大国・中国の正体』より》

 中国人民解放軍の活動が、ますます活発になっている。

 特に、南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)では、暗礁を埋め立てて人工島を建設し、その上に滑走路やビル、さらにはレーダー施設まで建設している。しかも、1カ所ではない。
2015年5月に公開された南シナ海・スプラトリー(中国名・南沙)諸島のファイアリークロス礁(同・永暑)の画像 (米海軍提供・ロイター)
2015年5月に公開された南シナ海・スプラトリー(中国名・南沙)諸島のファイアリークロス礁(同・永暑)の画像 (米海軍提供・ロイター)
 南シナ海で、少なくとも7カ所の人工島を建設し、その面積は、東京ドームの170個分以上に及ぶ。

 中国は、九段線で囲まれた南シナ海のほぼ全域に主権が及ぶかのような主張をしているが、これら人工島をベースにして、実際のコントロールに乗り出したのだ。これを可能にしたのが、中国の急速な軍事力の増強である。特に、中国海軍の増強は目覚ましい。少なくとも2隻の空母を建造中で、中国版イージスと呼ばれる大型の駆逐艦も大量に建造されている。やはり大量に建造されている最新型のフリゲートとともに、日常的に、南シナ海や東シナ海、さらには西太平洋で任務行動を行うようになった。数の上では、同地域にある米海軍艦艇を圧倒している。

 空軍の増強も目が離せない。2013年11月には、東シナ海にADIZ(防空識別圏)を設定し、自衛隊機や米軍機の監視を強めた。現在の空中戦では欠かすことのできない、空中警戒管制機の整備も進めている。さらには、新たに最新型のロシア製戦闘機Su-35の導入も決まった。航空優勢の確保が海上および陸上での軍事作戦の成否を左右することから、中国空軍力の増強は、地域のパワー・バランスに大きな影響を与える可能性がある。