山田順(ジャーナリスト)


「視聴率が取れるコンテンツはそうない」


 舛添要一“逃げ切り失敗”都知事が演じた「疑惑追及劇場」が、「セコイ」という日本語を世界に拡散しただけで終わった。本当に残念である。世論とメディアが、ひたすら「辞任」を要求しなかったから、こんなことにはならなかっただろう。

 私は、「疑惑劇場」が始まってしばらくしてから、「辞めてほしくない。もっと続けてほしい」と願うようになった。

 それまでは、このまま「逃げ切ろう」という姿勢が許せず、一刻も早く「出場停止」にし、「永久追放」してほしいと思ってきたが、考えが変わった。このまま「辞職します」と頭を下げて、いなくなってしまったら困る。「反省しています」「生まれ変わります」「給料を返上します」と言っているのだから、しばらく都庁にいてもらって、毎週、同じ会見と議会審議を続けていってほしかった。

 舛添「疑惑追及劇場」が始まったのは、「文春砲」(週刊文春5月12日号)が放たれた4月27日だった。その後、「口先言い逃れ」が続いたが、6月20日の「無言逃亡」により、劇場はわずか2カ月で終幕してしまった。
険しい表情で都庁を後にする東京都の舛添要一知事(中央)=6月20日午後
険しい表情で都庁を後にする東京都の舛添要一知事(中央)=6月20日午後
 この間、メディアの報道は盛り上がり、とくにテレビのワイドショーは視聴率を稼いだ。だから、一部のテレビ関係者は私と同じ思いで、「すぐに辞めてもらっては困る」と言っていた。

「すでに辞任は既成事実化している。ならば、辞めるのはいつでもいい。もっと先でいい。毎日、ナマ中継でき、ここまで視聴率が取れるコンテンツはそうない」
 というのが、その理由だ。

 メディアは常に「都民の声」を代弁していると言いつつ、本音では「劇場」が続くことを願っていた。しかし、都議会与党の自民・公明の議員まで「恥ずかしくないのか」「あなたは辞めるべきです」などと言い出したため、舛添氏は辞めざるをえなくなってしまった。

 本当に、残念である。