山本みずき


 18歳選挙権の関連法案成立を2週間後に控えた昨年、大学で朝日新聞社の出張講義があり、同社記者が「18歳選挙権から考えてみる」をテーマに講演した。大教室に集まった学生は約500人。18歳選挙権の意義について語った記者が講演の中で学生に賛否を問うと、賛成派がわずかに上回った。

 同様の調査は、法政大学の現代メディア論の授業でも実施され、結果は18歳選挙権への賛成は半分にとどまる一方、反対は17.6%となり、賛成派が多数であることが明らかになった(朝日新聞による調査)。

 では賛成派はなぜ賛成なのか、理由を聞いてみた。「18歳で働いている人がいても選挙権がないのはおかしい」、「シルバーデモクラシーが現状となっているため、選挙権年齢の引き下げは人数的に微増だが、打開のきっかけとなり得る」、そのほか「若者の政治的関心を高めることにつながるから」という意見もあった。

 こうした意見は、政治に関心を高めるキャンペーンに取り組む若手政治活動家の間で、よく主張されている内容と同じだ。ただ、これらの主張を聞いて、私はいつも感じることがある。彼らの意見は、確かな知識やデータに裏付けされたものなのだろうか。感覚だけで公に言葉を発してはいないだろうか、と。

 例えば「18歳で働いている人がいるから選挙権がないのはおかしい」との意見を考えてみる。これは18歳以下の人であっても働いているならば選挙権を与えるべきだという主張が成り立つ。「安保法制の反対を声高に叫ぶ人々が、デモに行く前に2時間程度でも外交の専門書を読んで街頭に立てば、より論理的な話ができたと思う」という発言をした人もいたが、最近は政治を知的に考える姿勢が蔑ろにされてはいないだろうかと思わざるを得ない。
安全保障関連法に反対する高校生グループのデモ=2月21日、東京・渋谷
安全保障関連法に反対する高校生グループのデモ=2月21日、東京・渋谷
 本稿では、冒頭に紹介した学生たちの意見を参考にしながら、より具体的に18歳選挙権の意義を考えてみたい。

 まず、「18歳選挙権がシルバーデモクラシーを打開するきっかけとなり得る」との主張については、二つの側面がある。一つは人口の規模である。シルバーを65歳以上と定義したとき、総務省統計局の統計によると人口は3189万8千人であり(平成25年10月現在)、20代の人口は1307万4千人、30代は1668万3千人で、20代と30代を合計すると若い世代の人口は2975万7千人となる。

 では、18歳選挙権が加わると、投票に参加できる人口は一体どのくらい増加するのだろうか。18歳と19歳の人口は247万人。このためシルバー層の人口3189万8千人に対して、若年層の人口は3222万7千人となり、18歳と19歳が加わることで、選挙権を持つ若年層はシルバー層を上回った(若年層を10代と20代に限定するならば、シルバーデモクラシーの打破は人口的には無理があるが)。従って第一条件である人口の問題は解決することになる。