小笠原誠治(経済コラムニスト)


リーマン級ショックが起こる?


 英国のEU離脱を巡る国民投票の結果が明らかになった。大方の予想に反して「離脱」が過半数を上回ったのだ。接戦になるであろうという予想はそのとおりであったが、結果は逆になった。何故だろうか? それは希望的観測に基づいた予想が多かったから、つまりバイアスのかかった目でみていたということである。英国がEU離脱を決断すれば、先行きの不透明感が強まり、リスクオフの様相が強まる。そして、リスクオフの様相が強まれば当然のことながら円高が進むだろうから日本としては迷惑なことだ、と考える人が多いのは分かる。

英BBC放送の「EU離脱が確実」の報道後、円高が進み日経平均株価も1万5000円を割り込んだ=6月24日午後、東京都港区の外為どっとコム (山崎冬紘撮影)
英BBC放送の「EU離脱が確実」の報道後、円高が進み日経平均株価も1万5000円を割り込んだ=6月24日午後、東京都港区の外為どっとコム (山崎冬紘撮影)
 でも、仮にそうだとしても、そもそもリスクオフで円高が進むのは、日本がマイナス金利まで導入して普段円キャリートレードを煽っているからでもある。つまり、リスクオフで円キャリートレードの巻戻しが起こり、円買い需要が発生するので円高になる。いずれにしても、こうして結果が出たからには、今後の関心事は、この決定が英国経済のみならず世界経済にどのような影響を与えるか、ということに移る。そのことに関して、リーマンショック級の危機が起こるという声も聞こえてきている。果たしてそうなのであろうか?

 私は、今回の決断が世界経済に与える影響は限定的だと考える。ただし、英国経済自身に与える影響は軽微なものでは済まないであろう。というのも、英国の輸出の約4割はEU加盟国向けであるからであり、それらの輸出に対し新たに年間50億ポンド(約80億ドル)の輸出関税が圧し掛かるからである。また、英国の輸入に対しても年間90億ポンド(約132億ドル)の輸入関税がかかるとみられ、それが家計の負担として重くのしかかるのである。要するに、輸出業界にとっても家計部門にとっても大きな痛手となるのである。