河治良幸(スポーツジャーナリスト)



【決勝トーナメント1回戦】ハンガリー0-4ベルギー



 F組を1勝2分の1位で突破し、グループリーグ最大の驚きを提供したハンガリーとFIFAランキング2位で優勝候補の一角におされるベルギーの対戦は終わってみれば0-4という大差が付いた。結果を見れば「ベルギーの圧勝」だが、内容的にはハンガリーが健闘したと言える。言い換えるなら、ベルギーが難しい相手に対して持ち前の“決定力”を発揮した形だ。

 “決定力”を簡単に表現するならばチャンスに高い確率で決めるか決めないか。トータルで25本のシュートを記録し、そのうち14本が枠内だった。40歳のハンガリー守護神ガボル・キラーイに阻止されたシーンも多かったが、チャンスに正確なシュートを放っている証拠だ。ハンガリー戦で得点を生んだのはセットプレーとカウンターだ。

ベルギーのMFフェライーニとFWミララス、バチュアイ(左から)
【ベルギー-ハンガリー】ベルギーのMFフェライニとFWミララス、バチュアイ(左から)
 1点目はFK。左サイドのボール回しからMFケビン・デ・ブライネが仕掛けようとしたところでDFアダム・ラングのファウルを受けた。ペナルティボックスの左斜め後ろからのFKをデ・ブライネが自ら右足で蹴ると、ファーサイドから飛び込んだDFトビー・アルデルヴァイレルドが豪快にヘッドで合わせてGKキラーイの反応を破った。10分という早い時間帯の先制点のベースにはデ・ブライネの正確なキックに加えて、一人ひとりの対人能力がある。

 ペナルティエリア内でFKのターゲットになった選手は186cmのMFアクセル・ヴィッツフェル、190cmのDFトマ・ムニエ、189cmのDFヤン・フェルトンゲン、190cmのFWロメル・ルカク、そして186cmのアルデルヴァイレルドだった。5人とも長身であり、コンタクトプレーに滅法強い選手たちだ。ハンガリーは横一列のラインDFで対応しようとしたが、直接ボールを競らない選手の動き出しに引っ張られて、ボールの落下地点に飛び込んだアルデルヴァイレルドをフリーにしてしまっている。