吉野嘉高(筑紫女学園大学教授)

 低視聴率に喘いでいるとはいえ、バラエティー番組『めちゃ×2イケてるッ!』(毎週土曜日19:57~20:54)がフジテレビの看板番組のひとつであることは間違いない。今年で20周年を迎える長寿番組であるが、今なお、筆者の笑いのツボを適度に刺激してくれる。

 5月の放送(21日)では、岡村隆史扮する「E村P」が、ドラマ『ラブソング』に出演するという設定のコントは絶妙であった。E村Pと、このドラマの主演、福山雅治や演出担当、平野眞氏との、とぼけたやりとりが滑稽で何度もクスクスと笑ってしまった。
 面白かったのは確かなのだが、同時にフジテレビが凋落した原因はこのような「内輪ウケ」に象徴されていることを改めて考えさせられた。これを続けている限りフジテレビは再生しないのではないか(もちろん、めちゃイケの番組全体が「内輪ウケ」だけで構成されているわけではない。ここでは敢えて“フジテレビらしさ”が凝縮されたこの部分だけを抜き出して論考する)。

 E村Pというのは、この番組の飯村プロデューサーをモチーフにしているらしいが、視聴者はこの人物を知らない。したがって、目をつり上げたり、“チャラい”言動で模写を試みたりしたところで、似ているのかどうかがさっぱりわからない。今や“絶滅危惧種”のような“ギョーカイ人”、飯村プロデューサーのデフォルメされた姿を笑える人もいれば、わけがわからないと感じる人もいるだろう。

 めちゃイケには、これ以外にも明松(かがり)プロデューサー本人が登場する「ガリタ食堂」や「コリタ食堂」というコーナーがあった。本来裏方であるべきスタッフが出演して仲間内で盛り上げようとする、という意味で「内輪ウケ」の部類に入るだろう。

 この笑いのパターンは古く、淵源は80年代前半に遡る。1981年に始まった『オレたちひょうきん族』に、ディレクターが「ひょうきんディレクターズ」として出演したりレコードを出したりしたのが始まりであろう。

 このほかに1982年に始まった『笑っていいとも』のテレフォンショッキングのコーナーにはディレクター「ブッチャー小林」が出演していたし、とんねるずの石橋貴明による石田プロデューサー(通称「ダーイシ」)のモノマネもE村Pのネタとかぶる「内輪ウケ」である。