碓井真史(新潟青陵大学大学院教授)


 三ちゃんこと三中元克さん(25)は、素人として5年間も「めちゃイケ」に出演し続けている人気者です。前回のめちゃイケは、三ちゃん特集でした。そして以前から芸人にあこがれていた三ちゃんは、ついに吉本に入り、芸人になろうとしてます。次回の番組では、三ちゃんがプロとして芸を披露し、番組に残れるかどうかは、視聴者の投票によって決まる!ということで、番組は盛り上がっています。

 ただ三ちゃんは、その素朴さとドジっぷりで人気なのであり、彼が器用に漫才やコントができるとは、多くの人が思っていないでしょう。バラエティー番組の中で、いつもイジられ、しごかれ、ドッキリを仕掛けられ続けてきた三ちゃん。これって、ひどいことでしょうか。

 「なぜ「めちゃイケ」は素人・三中元克を5年間も使い翻弄し続けるのか?」と、弁護士の高橋維新さんはおっしゃっています。番組の中で、不当に彼の人格をおとしめ、才能もない人間を5年間も翻弄してきたのは問題だとおっしゃっています。ごもっともなことです(でも、才能がないと公言してしまうのもまた失礼かとも)。ただまあ、そんなに難しいことを言わなくても、テレビのバラエティーなのだからという声も聞こえてきそうですが、テレビ関係者の方も発言しています。

 高橋秀樹さん(日本放送作家協会・常務理事)のご意見です。「<バラエティ制作の倫理>素人・三中元克を追い詰める「めちゃイケ」は公開イジメか?」。このご意見も批判的ご意見ですね。テレビのバラエティーだからといって許されない、これは「公開いじめ」だと。
三中元克さん
三中元克さん
 ネット上には、様々な意見があります。三ちゃん、大好き面白いという意見もあれば、大嫌いとか、面白くないと言う意見もあります。次回の番組で行う投票についても、「めちゃイケメンバーの“三中元克公開リストラ”に批判殺到」というニュースにもなっています。

 賛成反対応援アンチ、どちらにせよこうして話題になって視聴率が上がれば、番組としては大成功でしょう。

芸人はいじめてもいいけど素人はだめ?


 以前、あるバラエティー番組のゲームで、動物が罰ゲームを受けるシーンがあって、視聴者の不評をかったことがありました。人間であるお笑い芸人は、もっとひどい罰ゲームを受けているのに、なぜ動物だと視聴者は不快に思うのでしょうか。

 それは、動物が「自己決定」していないからだと思います。自己決定は基本的人権だと思いますが、心理学的にも大切な考え方です。自己決定感を持つことが、人間の幸福につながります。芸人さんたちは、その職業を自分で選んでいます。イジられることをとても喜びます。芸人さんにとっては、正解して少ししかテレビに映らないよりも、不正解の罰ゲームでみんなに大笑いしてもらったほうが、「オイシイ」でしょう。

 視聴者である私たちも、それがわかっていて、安心して笑います。本当に人が困っている姿を見て笑うのは、非人間的でしょう。素人のアクシデントビデオを見て笑えるのも、大した怪我はしなかったとか、本人も放送されることを了解して、それをユーモアとして受け入れているからです。

 昔あったテレビ番組「ドッキリカメラ」は、素人をだましますが、素人が受け入れてくれる範囲内のことを行います。素人さんたちは、そのときはびっくりしますが、放映を許可し、良い思い出となる出来事になります。

 では、三ちゃんこと三中元克さんは、どうなのでしょうか。