こうした話をすると、民進党や共産党から、かならず雇用者数は伸びたが賃金が伸びていないという。これを聞くと、筆者はやっぱりわかっていない、この人たちに政権運営は無理と思ってしまう。

 経済政策として何より重要なのは、雇用者数の上昇、失業率の低下である。失業率は低ければ低いほどよく、ゼロが理想であるが、実際にはゼロにならない。どうしても、雇用のミスマッチなどで、これ以上下げることができないという失業率が存在する。これを構造失業率という。失業率をこれ以上下がらない構造失業率まで低下させると、今度は賃金が上がってくる。この順番が重要で、構造失業率まで低下させないと失業を解消できないのだ。金融緩和を否定した民主党政権時代は、実際の失業率は構造失業率よりはるかに高かった。安倍政権では、現在失業率が3.2%と構造失業率と思われる2.7%の一歩手前まで低下しており、アベノミクスのさらなる推進が経済政策として正しい。

 失業率が下がれば、自殺率や犯罪率が低下することが知られている。さらに、生活保護の受給率も下がる。話題のブラック企業も求人が大変になって、自ずと淘汰されるだろう。いずれにしても、雇用者数、失業率は最も重要な経済指標の一つだ。
握手する岡田克也代表(右)と共産党の志位和夫委員長(左)=3月29日、国会
握手する岡田克也代表(右)と共産党の志位和夫委員長(左)=3月29日、国会
 過去のデータからみれば、失業率を1%低下させることができると、自殺者を3000人程度少なくできる。実際に安倍政権になってから、自殺者は予想通り減少している。これは、民進党や共産党の経済政策ではなしえなかったことである。

 民進党と共産党の共闘は、安全保障でも経済でも安保法廃止後の展望がない。安全保障分野では、両者の意見は違うので、何もできないという状態になる。その隙に、中国が日本領海に進出し、日本の国益が損なわれるだろう。

 経済分野で、両党は意見が一致しており、世界の左派政党の標準である金融政策を否定する。その結果、雇用が確保できずに失業率も上昇し、結果として自殺率や強盗の発生率が上昇するだろう。さらに、ブラック企業が再び跋扈するようになるだろう。自らの経済政策により左派政党の金看板である雇用の破壊につながるのは、なんとも皮肉な将来である。