室伏謙一(政策コンサルタント)
 今回の選挙、与党である自公と「安倍政権打倒」を掲げる民進、共産、社民、生活の4党による野党連合との闘いという側面がある。野党連合側は、アベノミクスの失敗、憲法改正の意図を隠していること、平和安全法制を中心に与党を攻撃している。これに対して、与党側は野党連合を民進党と共産党による連携に単純化した上で、民進党と共産党の政策が違うということを指摘して、「気をつけよう、甘い言葉と民進党」といったキャッチコピーを繰り返す等して、野党連合を攻撃している。
野党党首会談に臨む民進党の岡田克也代表(中央)ら=5月30日
野党党首会談に臨む民進党の岡田克也代表(中央)ら=5月30日
 しかし、民進党や共産党は「安倍政権打倒」や平和安全法制廃止、経済政策の見直しという協力できる部分で統一戦線を張っているのであって、全ての政策を共通化しているわけではない。共通化できるのであれば一つの党にまとまればいいという話であるが、それができないから別々の党として協力しているのであるから、両党の政策の違いを指摘して攻撃するというのは的外れ極まりない。

 こうした協力形態は欧州諸国では当たり前であり、共産党が名称を変えて連立政権に参加した事例すらある。そもそも与党も自民党と公明党による連立政権。両党も政策の違いがあるからこそ別々の党として連立しているわけであるが、それについてはどう説明するのだろうか?まさにブーメランである。(日本ではどうも二大政党が理想という根拠なき考え方が一人歩きしているために、連立政権というのが理解されにくいのかもしれない。そういえば、自民、社会、さきがけによる連立政権の際に、「野合」だとの批判が聞かれたが、そうした現象に象徴されよう。)

 これに関連して、与党側は、野党連合が議席を伸ばしたとして、自公政権に替わって政権を担えるのか?という批判も繰り返し行っている。その点だけを取れば、まだ機が熟していないという答えになるが、そもそも今回は参議院議員選挙であり、政権交替を直接的にかけた選挙ではない。衆議院では自民・公明の与党が3分の2を占めており、参議院の半数改選で野党連合が大勝したとして、この状態でどうやって政権交替をするというのだろう?ご自分のことを「立法府の長」と言って憚らなかった安倍総理は、当然その程度のことはご存知だと思うが・・・