田中俊英(一般社団法人officeドーナツトーク代表)



「いちご白書」ではなく「世代内アンケート」


 おそらく「SEALDs(シールズ)」とは、現代の「エリートな若者」の一部を象徴する人々のことだ。それは「学年人口」「意識高い系」「ミドルクラス(中流階層)」という三要素でくくられるだろう。

 まずは、「学年人口」。若者の数が多ければ、シールズは従来の若者らしく大暴れすればいい。大暴れして、「大人」世代と断絶し、若者は従来の若者らしく、孤独な長距離ランナーになればいいと思う。だが、残念ながら、今は若者が少数派になってしまった。若者一人ひとりがシールズ的にどれだけ大騒ぎしようが、その数が圧倒的に少ない。
国会前で声を上げるシールズメンバーの奥田愛基氏(中央)ら=2015年9月15日、東京都千代田区
国会前で声を上げるシールズメンバーの奥田愛基氏(中央)ら=2015年9月15日、東京都千代田区(中村昌史撮影)
 たとえ18歳以上に選挙権が与えられても、一学年120万人×2学年の240万人に過ぎず、団塊世代一学年よりも少ないという有様だ。若者は「弱者」というよりは「少数派」なのだ。シールズがいくら大きな声で主張しても、学年人口では団塊世代の半分に過ぎない。

 だからこそ、「いちご白書」のような学生闘争も、若者の間では共感を呼ぶかもしれないが、社会的には影響力が低いものになる。言い換えると、「シールズ的熱狂」は、若者の間では内輪ウケし、基本リベラルが多いメディアには大きく取り上げられるかもしれないが、それはマニアックな熱狂にしかならない。いちご白書は「白書」にはならず、単なる「世代内アンケート」にとどまる、これが今の「若者の声」のあり方だ。