河治良幸(サッカージャーナリスト)


【決勝】ポルトガル1-0フランス


 EURO2016の決勝は開催国フランスとポルトガルの対戦となった。下馬評では圧倒的にフランス有利と見られる中で、ポルトガルはエースでキャプテンのクリスティアーノ・ロナウドを前半早々の負傷で欠きながら、チーム一丸と言える戦いぶりで延長後半に決勝ゴールを決め、フランスの“聖地”サンドニで優勝トロフィーを掲げることとなった。

 大会における攻守の主役はクリスティアーノ・ロナウドとペペだろう。また再三にわたる好セーブでピンチを防ぐと同時にチームをもり立てたGKのルイ・パトリシオ、中盤の底で幅広く相手の起点を封じたウィリアム・カルバーリョ、前線で精力的にパスを引き出して少ないビッグチャンスの大半に絡んだナニ、ファイナルで殊勲のゴールを決めたエデルの名前も挙げないわけにはいかない。それでもチームにおける最大の「発見」が18歳のレナト・サンチェスであることに異論を唱える人は少なくないのではないか。

【準々決勝 ポルトガル―ポーランド】 大会史上3番目の年少記録となる同点ゴールを決めたポルトガルの18歳の新鋭、レナト・サンチェス(ロイター)
【準々決勝 ポルトガル―ポーランド】 大会史上
3番目の年少記録となる同点ゴールを決めたポ
ルトガルの18歳、レナト・サンチェス(ロイター)
 「発見」と言っても今年3月26日に行われたブルガリア戦でA代表デビューを飾ったティーンエージャーの才能はすでに大きな話題になっていたし、大会を前にポルトガルの名門ベンフィカからドイツのバイエルン・ミュンヘンに5400万ユーロで移籍した事実が評価の高さを物語っている。しかしながら、多くの若きタレントが候補にあがりながら最終メンバーから外れたチームで抜擢されたMFは大舞台にひるむことなくフィールドを駆け、母国の優勝に大きく貢献したのだ。

 決勝トーナメントがかかったグループリーグ3試合目のハンガリー戦では後半開始と同時にジョアン・モウチーニョとの交代で出場すると、停滞気味だった攻撃を活性させ、ロナウドによる2ゴールを呼び込んだ。ラウンド16のクロアチア戦では後半10分から出場し、素早いボール運びでナニのクロスにつなげ、リカルド・クアレスマのゴールを演出した。

 そして大会初先発となったポーランド戦でナニとのワンツーから左足を振り抜き同点ゴール。そのまま引き分けて迎えたPK戦では2番手できっちりと決め、勝ち上がりにつなげた。さらに準決勝のウェールズ戦、決勝のフランス戦と3試合連続でスタメン起用されるわけだが、高度な個人技や機動力もさることながら、目を見張るのが戦術的な役割をこなせるビジョンと意識だ。