渡瀬裕哉(早稲田大学招聘研究員)

若者に対して宣戦布告か?


 7月12日に実施された東京都知事選挙の公開討論会(青年会議所主催)を拝見させて頂きました。基本的には司会側の中立的な対応と各候補者の防御力が高く、面白発言がほとんど無い平々凡々した内容でした。

 その中で一際異彩を放っていたのは(冒頭で暴れたマック赤坂氏を除いて)、司会者である原田謙介さんからの「ある質問」に対する立候補予定者らの回答でした。

 若者政治参加を呼びかける原田謙介さんが発した「各立候補予定者の方は若者の視点・意見を政治・行政の中に取り入れるためにどのようなことをお考えでしょうか」という質問に対し、増田・宇都宮・小池の3氏で比較すると

増田寛也
「若い人に1票の力を信じてほしい」
「若い人が意思表示したことは今までの政治は応えきれず無視してきた」
「選挙以前の段階で平場で若い世代の考えを事前に議論して政策に生かす道筋を作りたい」

宇都宮健児
「選挙権年齢が下がったが被選挙権の年齢が高い」
「選挙権年齢を引き下げれば若者が意見を反映できる」
「供託金が高すぎる。私は日本の供託金は憲法違反であるという訴訟を提起した」

小池百合子
「18歳に選挙権が引き下げられたことで若者には声をあげてほしい」
「学校教育で教え方、特に偏向教育についてはチェックする」

というものでした。増田・宇都宮・小池の3氏ともに非常に当たり前の話をされているように見えますし、一般論としては十分に成立する内容です。
公開討論会に臨む(左から)増田寛也氏、山口敏夫氏、宇都宮健児氏、中川暢三氏、小池百合子氏=7月12日、東京都港区(納冨康撮影)
公開討論会に臨む(左から)増田寛也氏、山口敏夫氏、宇都宮健児氏、中川暢三氏、小池百合子氏=7月12日、東京都港区(納冨康撮影)
 しかし、筆者は原田謙介氏が用意した上記の質問は非常に知的な質問だと感じました。

 なぜなら、この質問は「各候補者の若者に対する政治姿勢と質問に対する回答との間に整合性があるのか」ということを見極める「嘘発見装置」のような問いだからです。

 たとえば、宇都宮氏の回答は、東京都知事の仕事とは直接関係はありませんが、政策提言と自らのアクションについて具体性が伴った話であったと思います。また、小池氏は過去に大学入試センター試験に関する記述などについて国会で質問しており、質問への回答と国会議員としての行動との間で整合性があると言えます。

 しかし、上記の2人と比べて、増田氏の回答はどうでしょうか?「それを貴方が言いますか(笑)」と会場中の方々が心の中で突っ込んだのではないでしょうか。