八幡和郎(徳島文理大教授、評論家)

 東京都知事選挙は実質的に、小池百合子元防衛相、増田寛也元総務相、鳥越俊太郎氏の争いになった。宇都宮健児・元日本弁護士連合会会長は、立候補予定者として名乗りを上げて以降、テレビなどにさんざん露出し勝手なことを言っていたくせに、立候補を取りやめるとは都民をバカにするにもほどがある。電波ジャックで公開詐欺をしたようなものだ。弁護士だからいろいろ弁解はあるのだろうが、悪徳弁護士なみの法匪だ。主張は相容れないが筋の通った人だと思っていただけに見損なった。

 また、驚いたことに、連合東京が鳥越氏を支持せず中立にまわることになった。政策が示されず検討しようがないという。前回は細川護煕元首相を民主党が推薦したが、反原発を明確にしたために、連合東京は舛添要一前東京都知事と政策協定を結んで支持に回った。今回はどの候補者も支援しないというが、実質的には、小池氏の行革路線に反発して増田氏の当選を期待するニュアンスがあるのかもしれない。それなら連合は国政選挙でも共産党を含めた野党連合にNOを突きつけるべきだった。
立候補した(右から)鳥越、増田、小池氏
立候補した(右から)鳥越、増田、小池氏
 なぜ鳥越氏が野党4党の統一候補なのか? それは、4党野合連合+プロ市民+連合東京の中で、どこかがどうしても嫌だという候補ではないというだけだ。その上、自分たちにとってあまり厳しくなく、いい加減な主張をしているからだ。連合東京が鳥越氏を支持しなかったのも、鳥越氏だから中立にとどまったのであって、古賀茂明氏あたりなら増田氏を支持していただろう。

 鳥越氏は76歳と、これまで千葉県の加納知事、岐阜県の武藤知事と並び就任時の最高齢で、唯一のセールスポイントか。出生率において東京は1.1で全国平均1.4を下回り最低だが、「全国平均より上」との認識を示していた。これでは、都知事候補どころかジャーナリストとしても現役続行は無理な耄碌ぶりとしか言いようがない。当選すればリオ五輪の閉会式をはじめ、世界を飛び回らねばならないのにどうするつもりか。

 また「戦後70年、時代の流れが変わってきたと感じた。国全体が流れを変え始めている。舵を切っているということに、少し私が流れを元に戻すという力になれば」というのでは、都政にほとんど関心がないことが分かる。

 鳥越氏はかつて、「そう簡単には戦争はできないものなのだ。そうした事から、中国の脅威といっても重大なものとは思っていない。ただ可能性として、中国が軍事力でやってくることはあるかもしれない。その場合は、日本の自衛隊が専守防衛の原則に従って行動し、侵略に対しては日本国民が立ち上がる。米国に助けてもらう必要はない」と語った。つまり中国の脅威は重大でないが、いざとなれば、自衛隊を先頭に日本人が立ち上がって戦えば撃退できるらしい。鳥越氏は徴兵でもするつもりなのだろうか?