ベネッセ(http://resemom.jp/article/2015/11/25/28135.html)や第一生命(http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/ldi/news/news0808.pdf)の調査によると、子ども同士が集まって遊ぶ機会が乏しい状況は、ファミコン世代のそれより進行しているそうです。放課後は塾や稽古事に忙しく、路上や空き地での外遊びはもとより、公園でのボール遊びすら忌避されるようになった現状では、致し方のないことでしょう。

 しかし、そうだとしたら、子ども同士は一体どこでどうやって接点を持ちあい、コミュニケーション能力を育てていけば良いのでしょうか? 「学校や家庭、稽古事でコミュニケーション能力を育てればいい」と言ってしまうのは簡単ですが、現状でも学校の先生がたは手一杯ですし、学童保育を巡る状況には厳しいものがあります。家庭や塾や稽古事を介して、すべての親がコミュニケーションに富んだ時間を子どもに提供できるとも思えません。SNSやLINEが提供するコミュニケーションも部分的には役立つでしょうが、幼いうちは適切に使いこなすのが難しいうえ、表情や身振り手振りを伴ったコミュニケーションの鍛錬の機会とはならないので、それだけでは不十分です。

 産業全体に占めるサービス業の割合が高く、人的流動性も高くなった日本社会は、多くの人に高水準のコミュニケーション能力を求められる、いわば「コミュニケーション社会」になりました。にも関わらず、子どもが集まって遊ぶ機会が減り、子ども時代のうちにコミュニケーションの経験を積み重ねにくくなってしまったわけですから、社会のニーズに即したコミュニケーション能力を身に付けるための難易度は、今まで以上に高くなっていると言わざるを得ません。

 数十年前まで、子どもが放課後に群れ集って遊んでいればコミュニケーションの経験蓄積は無料で達成できるものでした。しかし今はそうではありません。子どもを遊ばせておきたいだけなら、携帯ゲームやスマホアプリで遊ばせるほうが、よほど簡単で安くつきますが、それではコミュニケーション能力を育てる機会が足りなくなってしまいます。

 「ファミコンが悪い」「携帯ゲーム機が悪い」「スマホが悪い」と言うのは簡単ですが、この問題を遡って考えるなら、子どもがそうした一人遊びを余儀なくされ、そのことに疑問を差し挟む人も少なくなった現代の社会環境に意識を向けるべきではないでしょうか。