日本でも配信開始 なぜ世界中が「ポケモンGO」に熱中するのか

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                                                                                          (THE PAGEより転載)   
 人気キャラクター「ポケットモンスター」の世界観を実世界で楽しめるスマートフォン向けゲームアプリ「ポケモンGO」の配信が日本でも始まった。米国を中心に世界中でヒットしていることを受け、ポケモンを生んだ任天堂の株価がうなぎ登り状態だ。ポケモンに関連する銘柄の株価も軒並み上昇するフィーバーぶりで、市場関係者の間で「ポケモノミクス」と呼ばれる盛り上がりを見せている。なぜ世界中が一つのゲームに熱中するのか? ポイントをまとめた。

 ポケモンGOは、空想世界の生き物「ポケモン」をスマホ上で捕まえ、育てたり、プレーヤーの間で交換したり、対戦させたりするゲームだ。スマホの画面越しの風景にポケモンが出現し、対峙する。速く捕まえないと逃げられてしまう。そんな切迫感もあり、ゲームの主人公になったかのような気分を味わえるのが魅力だ。

今年2月末にはシリーズ累計2億本を突破
 特定の場所、タイミングにしか現れない「レアキャラ」もいる。それを実現するのは、拡張現実(AR:Augmented Reality)や衛星利用測位システム(GPS)で、最新技術を駆使した新感覚のゲームだ。プレーは基本的に無料。スマホにアプリをダウンロードすれば遊べる。ただ、ポケモンを捕まえるのに使う「モンスターボール」などを追加で入手する際に課金される仕組みとなっている。

 アプリは任天堂と、関連会社でカードゲームなどの商品やイベントを企画する「ポケモン」(東京都港区)、米国の「Niantic(ナイアンティック)社」の3社が組んで2013年にプロジェクトが始動、開発した。ナイアンティック社は、グーグルから独立したスタートアップで、ARを応用したゲームをいち早く手掛け、コアなファンを獲得している。

 役割分担として、開発・発売元となっているのはナイアンティック社、アプリ配信に合わせた説明書の作成や告知・宣伝をポケモン、そしてゲームに関する重要な情報を通知する腕時計型の装置「ポケモンGO Plus」の開発を任天堂が担った。

 ポケモンは1996年2月に任天堂の携帯型ゲーム機「ゲームボーイ」の専用ソフトとして発売された。ソフトは赤と緑の2種類あり、それぞれで出くわすモンスターが一部異なる。友人同士で捕まえたモンスターの対戦や交換ができることも受け、赤と緑合わせて計200万本を超える、任天堂の代表作の一つとなった。
爆発的なヒットを受け、任天堂株は急上昇

 今年で発売から20周年を迎えた。発売当時、子どもだった世代は大人になったが、継続的なファンは多い。新シリーズのソフトが続々と登場し、アニメや映画にもなっており、現代の子どもにも受け入れられている。海外でも人気で、世代と国境を越えて愛され、今年2月末にはシリーズ累計2億本を突破した。

 爆発的なヒットを受け、任天堂株は急上昇している。株価は19日に配信前の2倍を上回る3万円の大台を突破し、約6年ぶりの高値を付けた。時価総額も5兆円に迫る勢いだ。また、ポケモンGOと提携すると発表した日本マクドナルドホールディングス株も急騰するなど、ポケモンとの相乗効果が期待できる銘柄が買われ、市場は活況に満ちている。

 ポケモンGOの大ヒットを受け、ひとまず株高という好影響は出ているものの、今後の対応次第では市場やファンの失望を買いかねない。今のお祭り騒ぎに慢心せず、再び時代に残る名作、人気キャラクターを創り出していくことが期待されている。

 日本でのヒットはまず間違いないと確実視されているものの、アプリ自体がもたらす収益が、任天堂の業績を押し上げるかは未知数の部分がある。課金などによるアプリの収益配分は不明だが、開発主体のナイアンティック社が多くを占めるとみられるからだ。任天堂が得るのは「ポケモンGO Plus」の売り上げや、32%を出資しているポケモンによる間接的な利益が中心となる。

 ポケモンGOは7月6日に米国、ニュージーランド、オーストラリアを手始めにリリースされ、英国、スペイン、カナダなど30カ国以上で始まっている。今後も中国や韓国など配信地域は拡大する見通しで、未配信の国ではツイッターなどで「まだー?」とため息交じりに待ちわびているファンらの投稿が絶えない。
任天堂とグループ会社などが開発したゲーム「ポケモン」=米カリフォルニア州(ロイター)
 ポケモンGOに好意的な意見が多い一方、批判もある。街中や施設内、浜辺など「神出鬼没」のポケモンを、プレーヤーはスマホを見ながら探すため、熱中するあまり転んだり、人や物にぶつかったりといった事故が多発。また、墓地や慰霊施設といった神聖な場所にも現れているため、宗教団体から批判の声が上がるなどのトラブルも相次いでいる。

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