平沼赳夫(衆議院議員)

皇族に対する不当な差別待遇


 平成十七年十一月に政府の諮問機関である「皇室典範に関する有識者会議」が、それまでの皇室の伝統を無視して、女系天皇を認める報告書を出しました。百二十五代にわたって守られてきた皇室の伝統を僅か十名程度の「有識者たち」の議論によって変えることはおかしいと考えて、「報告書」に対する反対運動を行いました。平成十八年三月七日には、日本武道館で「皇室の伝統を守る一万人大会」を開催しましたが、このような私たちの活動を「右翼だ」とみなす人が多かったことは残念でした。

 官僚たちも、国家公務員の上級試験を通ってきていますが、皇室のことをまともに学んできていません。ですから、天皇陛下が国家の安泰と国民の幸福を祈られる皇居・宮中三殿の補修費用なども、財政難を理由に極力削ろうとする。宮中三殿の塀などがぼろぼろになってしまっていても、少しも気にしていない。

 あまり知られていませんが、皇族に対する処遇もおかしいことばかりです。ひげの殿下と呼ばれている寬仁親王殿下は九回も癌の手術をされていますが、皇族は国民健康保険に入ることもできないため、医療費の負担が大変なのです。宮様の場合、一般の人々との相部屋というわけにもいきませんから、入院費が一カ月に何百万とかかるわけです。その費用を決して多くない皇族費から捻出しなければならない。皇族は国民健康保険に入れないだけでなく、選挙権もありません。ところが、税金だけはしっかりと取られる。

 昭和天皇の弟宮にあたられる高松宮殿下は港区高輪にお屋敷があって、八千坪もありました。その内、半分の四千坪はご自身の所有地でした。その四千坪の敷地をすべて国に寄付されたんです。昭和六十二年の時ですから、バブルの時代で坪一億として時価四千億ですよ。

 それでも高松宮様が薨去(こうきょ)されたとき、税務署の役人たちが高松宮邸に来て、相続税を算定するためにお蔵の財産に査定額の札を貼って莫大な相続税を課した。やむをえず妃殿下は相続税を支払うために、葉山の別邸を売却されたわけです。四千億円も寄付された高松宮家から相続税を取り立てたんですよ。選挙権もなく、国民健康保険にも入れないのに、相続税などの税金は一般と同じく取られる。現行憲法でも「国民統合の象徴」と規定されている皇室に対しては、それにふさわしい処遇が整えられるべきではないかと思います。

 そもそもこんなおかしな法体系となっているのは、占領政策が原因です。日本の敗戦後、アメリカの占領軍が皇室を「日本最大の財閥だ」と誤解して財産を没収しただけでなく、最小限の経費しか使えないようにしたからです。国民統合の象徴でありながら天皇陛下も皇族も不当な扱いを強いられてきた。そうした「占領遺制」は戦後半世紀、ほとんど是正されずに今日に至っているわけで、政治家として誠に申し訳なく思っています。