上野千鶴子(社会学者)/坂爪真吾(一般社団法人ホワイトハンズ代表)


障害のある人たちは、どのように自分や他人の性と向き合っているのでしょうか。それらの喜びや悩みは、障害の無い人たちと同じものか、それとも違うものなのでしょうか。
重度身体障害者の射精介助など障害者の性の支援に長年携わり、去年から今年にかけて『はじめての不倫学』『性風俗のいびつな現場』とベストセラーを連発した坂爪真吾さんの最新刊が、『セックスと障害者』(イースト新書)です。
今回、坂爪さんの東大時代の師匠・上野千鶴子さんをゲストに招き、フェミニズムの立場から見た障害者の<性>と<生>について、また弟子の言論活動についての評価など、縦横無尽に語ってもらいました。(2016年6月9日、八重洲ブックセンター本店)

「童貞喪失作」は推薦を頼まれても断ろうと思っていた


上野 私と坂爪さんはかつてのゼミ生とその教員という関係なんですが、今日は坂爪さんの新刊の出版記念トークですから、坂爪さんが主役で、私が脇役。今回、彼の本をこれだけ持ってきました(※坂爪さんの全著書5冊、『セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱』(小学館新書 2012)、『男子の貞操』(ちくま新書 2014)、『はじめての不倫学』(光文社新書 2015)、『性風俗のいびつな現場』(ちくま新書 2016)、『セックスと障害者』(イースト新書 2016)を並べる)。この『セックス・ヘルパーの尋常ならざる情熱』が童貞喪失作?

坂爪 はい、童貞喪失作(笑)ですね。

上野 わざわざここで「ヘルパー」と書いてあるのは、誰かの手を借りないとセックスできない人たち、つまり身体障害者の性を…。
坂爪 そうですね。じつは「ヘルパー」という表現を自分は使っていなくて、編集の方が付けたタイトルではあるんですが。

上野 そういう舞台裏は言っちゃダメ、だって著者が同意しているんですから。

坂爪 ああ、そうですね、すみません。