碓井真史(新潟青陵大学大学院教授)

 相模原施設襲撃事件。世にも恐ろしい事件だ。19人もの人が殺害された大量殺人だからということはいうまでもない。だが、それだけではない。重度の知的障害者はいない方が良いと語る男性による、大量殺人だからだ。

 今回の事件は、海外でも大きく報道されている。治安の良い日本で起きた残虐な大量殺人であること、そして障害者がターゲットとされたことが、報道を世界的に大きくしている。
現場となった障害者福祉施設「津久井やまゆり園」では、日没後も報道陣が取材を続けた=7月26日午後、相模原市緑区(早坂洋祐撮影)
現場となった障害者福祉施設「津久井やまゆり園」では、日没後も報道陣が取材を続けた=7月26日午後、相模原市緑区(早坂洋祐撮影)
 私たちの社会は弱肉強食ではない。ルールがあり、マナーがある。順序を守って並ぶ。高齢者には席を譲る。車椅子のためにスロープを作り、視覚障害者のために点字ブロックを作る。

 お笑い芸人たちは、しばしば相方の欠点を指摘し笑いを取るが、実際に軽蔑しているわけではない。相手の間違いを指摘する「ツッコミ」も、侮辱ではなく愛情表現だ。

 子どもたちは、ケンカをすることもある。ケンカは両成敗が基本だろう。いじめが起きることもある。いじめは、両成敗ではない。被害者を守り、加害者を指導しなければならない。

 さらに、障害児に対するいじめなど、絶対に許されない。これは、ただの理想や抽象論ではない。学校現場において、障害児に対して、その障害のゆえのいじめなど起きたら大問題だ。即座に教育委員会に報告され、普通のいじめ問題以上に、加害者は強く指導されることになる。

 芸能人や政治家の発言もそうだろう。公の場、ネット上などで、障害者を差別するような発言がなされたら、大炎上するだろう。

 しかし、それでも障害者差別はある。人は、障害者を差別する。たとえば、人は見慣れないものに不安や不快感を感じる。手足がない人や、奇妙な歩き方をする人を突然見たら、戸惑う人は多いだろう。

 これは、身体障害者に限らない。たとえば外国人を見たこともない人が、金髪青い眼の白人など見たら、やはり戸惑い、不安を感じるだろう。ただし、見慣れれば大丈夫だ。今は、街中で普通に外国人を見る。

 パラリンピックなどの機会も大切だ。身体障害のある人々が活躍する様子を始終見ていると、もうその障害の部分にだけ注目することは少なくなり、純粋に競技が楽しめるようになる。