片岡亮(ジャーナリスト)

 タレントの石田純一の出馬騒動は茶番もいいところだった。7月8日、東京都知事選に「野党統一候補でなら出馬する」と明言しながら、その3日後には出演番組やCMへの賠償問題をほのめかし「断念しました」と一転。まじめに日本社会を憂う人なら不快感を持っただろうが、そもそも多くの政治家が有言不実行で、パフォーマンスに終わってきたのだから、やってることはこのタレントと大差ない。むしろ、政治家とタレントが同じ方向を見ているから「当選しやすい」タレント議員が続出しているのではないか。
7月9日、大阪市内で報道陣の取材に応じる石田純一
7月9日、大阪市内で報道陣の取材に応じる石田純一
 ジャーナリスト、鳥越俊太郎氏の出馬が後出しじゃんけんと揶揄されているが、それも「どうすれば目立つか」だけを考えた末のタイミング。小池百合子・元防衛相のサプライズ出馬と発想に大差ないだろう。

 その鳥越氏とは、かつてテレビ朝日の情報番組で共演したことがあるのだが、隣に座った筆者の印象はジャーナリストというより「テレビタレント」だった。番組ではあるスポーツ問題を取り上げる予定で、その手の記事を書いていた筆者は解説を頼まれたものだった。その問題を扱う直前のCM中、横の鳥越氏に「片岡さん、これどう思います?」と聞かれた。僕は何気なく問題の争点となる部分を簡潔に話したのだが、CM明け、キャスターが鳥越氏に感想を聞くや、彼はCM中にした話をそのまま「僕はこう思うんですけどね」とコメントしたのである。ここまで図太い神経のジャーナリストもいたものだと驚いたが、「画面に映っていることがすべて」のテレビタレントはこういうことが平気でやれる人がたくさんいる。当然、視聴者はそのコメントを疑いもせず聞いていたことだろう。

 鳥越氏でなくとも、オンエア中に「これは許せない!」と唾を飛ばして言っていた有名コメンテーターが、CMに入った途端、「ホントは、別にいいんじゃないの?って思うけどねえ」と笑いながら真逆の本音を漏らしていた。