八幡和郎(徳島文理大教授、評論家)

 序盤戦の状況では、小池百合子元防衛相・鳥越俊太郎氏・増田寛也元総務相の三つどもえの中で、知名度に劣る増田氏がまず脱落する可能性が高いと筆者には見えた東京都知事選挙だった。

 しかし、鳥越氏は心身ともに正常に選挙戦を戦える状態とは言いがたく、しかも7月20日発売の『週刊文春』で13年前の淫行疑惑が報道され、報道に対する対応のまずさもあって停滞した。

 そのおかげで、増田氏が二番手として浮上したが、7月27日にまたも週刊文春がきつい砲撃を浴びせた。

 それは、東京都の「影の知事」といわれ、小池氏の立候補を防ぐために、手を上げる機会がないように計らったといわれる自民党都連幹事長である内田茂都議への総力取材に基づく大攻撃だった。

猪瀬直樹元東京都知事
猪瀬直樹元東京都知事
 また知事選の公示直前には、猪瀬直樹元知事が内田氏批判を展開した。猪瀬氏は副知事時代に仕事ができないように担当部局のない無任所とされたり、選挙ポスターを張るのを都連に拒否されたことから、急に特別な助力が必要になったために、それが徳洲会事件につながったと考え、内田氏に煮え湯を飲まされたという思いから、都政のガンだと感じたようだ。

 いまの東京の状況については、すでによく報道されているところだし、この特集のほかの記事でも扱われているだろうから、ここで私は日本の地方自治の病巣としての議会の問題を取り上げ、その中で東京の特殊性も論じたい。

 日本の地方自治は、首長の独裁と、議員のドブ板的案件や利権への関心特化が著しいため、機能不全に陥っている。これは、日本国憲法でアメリカの制度を中途半端に取り入れたがゆえである。

 同じ地方自治でも、欧州の地方自治は議院内閣制的な仕組みになっている。各政党が首長(議長)候補を明示して選挙戦を戦う。そして、数人の議員が副議長(副知事・副市長)という肩書きで、いわば大臣となる。

 事務方のトップは官僚が事務局長という形で補佐し、実務的な問題には行政の中立性確保の観点から、首長や副議長は介入を禁じられている。

 一方、アメリカでは地方自治体でも三権分立が徹底されているし、二大政党の予備選挙もあるので、タレント候補的な人は出にくい。また、そもそも州などの幹部は政治任用だから議員との垣根は低い。