古谷経衡(著述家)

桜井誠氏の得票数に注目


 7月31日、東京都知事選挙が投開票され小池百合子候補が圧勝した。小池氏の勝利は予想通りだったが、筆者が今次都知事選候補で最も注目していたのは、在特会(在日特権を許さない市民の会)元会長の桜井誠氏の得票動向である。

 桜井氏は2007年ごろから設立された同会の代表として、「行動する保守」と目されるネット保守(ネット右翼とも)の中でも最も過激な一群の中心的存在として主に街頭での排外的デモやスピーチの、その先頭に常に立ち続けてきた活動家である。今回、桜井氏が初めて都知事選挙に立ったことで、ネット保守の中でも最も強硬とされる「行動する保守」とその支持者らの量的輪郭が浮かび上がってきた。
在特会デモに抗議する人々(今次都知事選挙の写真ではありません)(提供:Duits/アフロ)
在特会デモに抗議する人々(今次都知事選挙の写真ではありません)(提供:Duits/アフロ)

桜井氏、「想定内」の健闘


 筆者は、桜井氏の基礎票を5万~8万票と事前予想した。この範囲内であれば「順当」、5万未満であれば「惨敗」、10万前後~10万前半であれば「想定内の健闘」、15万ないし20万票以上で「想定外の健闘」とした。結果、今次都知事選挙で桜井氏の得票数は約114,000票。「想定内の健闘」のラインに入ってくると思う。

 桜井氏の約11万票の得票に驚く人が多いが、筆者に言わせれば、この数字は特段驚くにはあたらない票数であり、むしろ高い投票率(前回都知事選挙よりも13%近く高い)のわりに、伸び悩んだとも言える。

 桜井氏の基礎票の算定にあたり、参考とした候補は、桜井氏と政治的主張が極めて似通っている右派系市民団体「維新政党・新風」の鈴木信行氏の得票数である。鈴木氏は2007年参院選東京選挙区に立候補し約2万1000票、続く2013年参院選同選挙区から立候補した際には約77,000票を集め、先月の参院選同選挙区でも約43,000票を獲得している。

このことから、桜井氏の基礎票もおおむね上限は8万程度で、今回の11万という得票数は、鈴木氏と同水準の基礎票にいくらか加味し、やや健闘したとはいえるが、それはあくまで想定の範囲内であり、特段驚くべき数字ではない(以下図参照)。