谷本真由美(コンサルタント兼著述家)

 英国がEUを離脱することになりました。私は投票結果をツイッターで中継していましたが、僅差で残留派が勝つと思っていた予想を裏切り、離脱派が勝利してしまいました。今回の国民投票は、離脱派が勝ったという結果以上に、民主主義そのものに関して考える機会を与えてくれました。 

「普通」の人々を非難する左翼


 まずはじめに、離脱派が勝った直後に、リベラルや左翼の人々は、離脱に投票した人々を以下のようになじりました。

 「ポピュリストに騙されたアホウだ」
 「無教養のろくでなし」
 「排外主義者」
 「貧乏人」
 「田舎者」
 「右翼」

 左翼の人々は、東ロンドンのオシャレなコワーキングスペースで、MacBookとブロンプトンの折りたたみ自転車を片手に、コンブチャ(左翼が好む健康商品であり日本の昆布茶ではない)を飲みながら、「無教養な田舎者が投票したんだ! ロンドンは残留派ばかりだよ。奴らは最悪だ!」と怒っていたのです。

英国で欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票が行われ、英領ジブラルタルの投票所で票を投じる人々=6月23日
英国で欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票が行われ、英領ジブラルタルの投票所で票を投じる人々=6月23日
 彼らは田舎の無知な貧乏人が大嫌いなのですが、世界平和や、無制限な外国人受け入れは大好きだという、とても矛盾した人々です。

 しかしながら、投票した有権者の半分以上は、離脱派であり、その中には、いわゆる中流以上の人々や、「普通の人々」も少なくなかったのです。

 ロンドン通勤圏の セブンオークスというところは、一件3−4億円の家が並び、超有名私学があることで有名です。ロンドンへ通勤しているサラリーマンが多いのですが、 離脱派が過半数。
(http://www.bbc.co.uk/news/politics/eu_referendum/results/local/s)

 そして、ハードロックバンドのデフ・レパードの出身地である北部のシェフィールドという街も離脱派が過半数でした。
(http://www.bbc.co.uk/news/politics/eu_referendum/results/local/s)

 シェフィールドはヨークシャーにありますが、タンポポ畑、羊、ウサギ、レンガ作りの建物、農場が広がる美しい田舎です。 排外運動に身を投じているような人達はほとんどいません。住民の多くはサラリーマン、学生、農業、サービス業の人々で、かつてイギリスで労働者階級の多く を占めていた炭鉱や重工業で働く人はほとんどいません。

 残留派が最も多かったリンカーンシャーのボストンという地区は、75.6%が離脱派でした。
(http://www.bostonstandard.co.uk/news/local/watch-boston-s-eu-referendum-result-1-7447526)