岡本裕明(Blue Tree Management 株式会社 代表取締役)

 リオのオリンピックがいよいよ2日後に迫ってきましたが、今ひとつわからないのが現地の情報。断片的に危ない、被害があったといった危険性を報じるものはありますが、包括的に今、ブラジルはいったいどうなっているのか、オリンピックは安全に開催運営できるのか、など疑問だらけであります。リオ州に至っては財政危機宣言で連邦政府への支援を要請したばかりです。

 オリンピックのもともとの発想はスポーツを通じて発展途上にある国家、ないし都市の再生を行い、経済活性化につなげるということでした。64年の東京にしろ、88年のソウルにしろ、確かにその目的に沿っていました。ところが、近年のオリンピックは開催国や地域財政に多額の費用負担が生じる上に収支で見ると「儲かる」ことなどほとんどありません。また、予算は当初の何倍にも膨らむのが常であり、ロンドンはよい例でした。2020年の東京はいったいいくらかかるのか、それこそ小池都知事が改めて紐を解いていくのでしょう。

 ではブラジル。オリンピックの所定の目的からすればブラジル経済が活性化し、治安の悪いリオが改善することを期待していたはずです。ところが、ブラジルには様々な不幸が重なりました。一つは経済構造が資源輸出型の域を出ないまま不況に突入してしまったことがあげられます。
ルセフ大統領の辞任を求めるデモに参加した女性=3月13日、ブラジル・サンパウロ
ルセフ大統領の辞任を求めるデモに参加した女性=3月13日、ブラジル・サンパウロ
 鉄鉱石の中国向け輸出はブラジルにとって降ってわいたような景気をもたらしました。2004年から11年にかけてその輸出量は3倍近くまで膨れ上がります。ところが中国の「腹一杯」現象でブラジルの景気は一気に萎みます。GDPは2010年をピークに下落トレンドとなり、2015年はマイナス3.8%で2016年も同水準になるとみられています。

 リオ州に至っては海底油田地域としても知られ、その権利から生まれる資金が運営上重要でありましたが、今、それを期待するのが無理というものであります。