西村眞悟(元衆院議員)

 先の時事通信で、東シナ海における中共の軍艦と戦闘機による領海と領空侵犯に対して、安倍内閣が国家の領域を守るという「断固たる意思」、即ち「命令」を発せられるか否かが、我が日本が平和を維持するか、彼の侵略を受けるか否か、即ち、戦争と平和の分かれ道となる。と書いた。そこで、この重大問題を取り上げ、安倍晋三内閣は、平成二十二年九月の菅直人内閣と同じ愚を繰り返していると警告する。

 平成二十二年九月、中国漁船と称する船が、尖閣諸島領海内で、退去を命じる我が国の海上保安庁巡視船の右舷に突進して追突した。海上保安庁は、その船の船長を逮捕して石垣島に連行した。ところが、中共は、中国漁船に加害行為はなく、日本は武器を使って福建省の零細な漁民から生活の糧である漁場を奪っている、日本は昔も今も中国人民をいじめている、と国際社会に宣伝した。菅直人内閣は、この中共の国際宣伝が世界に広まっているのに反論せず、検察は中国人船長を釈放してしまった。

 これでは、中共の国際社会に吹聴しているウソが事実として定着することになる。そこで、海上保安官の一色正春氏が、事実を明らかにする為に、中国漁船が我が巡視船に突進して衝突する影像を公開した。これにより、中共の対日非難はウソであることが国際社会に明らかになり中共は沈黙した。一色正春は、我が国の窮状を救った功績を讃えられるべきである。しかし、菅内閣は一色正春を犯罪者扱いした。

 平成二十八年六月二十八日、元航空自衛隊航空支援集団司令官織田邦男空将(F4戦闘機パイロット)は、東シナ海上空で中国軍戦闘機が緊急発進した空自戦闘機に攻撃動作を仕掛け、空自戦闘機がミサイル攻撃を回避しつつ戦域から離脱した、とする記事を公表した。さらに、織田空将は、戦闘機同士がいったん格闘戦に陥ると、空中衝突やミサイル発射に至る可能性は十分ある、と書き、産経新聞の取材に対して常識を度外視して中国軍機が尖閣上空まで近づいてきている、これが常態化すれば領空の安定は守れなくなると語った。
航空自衛隊のF4EJ改戦闘機
航空自衛隊のF4EJ改戦闘機
 六月三十日、自衛隊の統合幕僚長は、四月~六月の対中緊急発進(スクランブル)は過去最高だった昨年同期よりも1・7倍以上の約二百回に達したと発表した。しかし、その前日の六月二十九日、政府は、織田空将の指摘した事実を否定し、織田空将に対して遺憾だと述べた。また翌三十日に対中緊急発進の異常な頻発を公表した統合幕僚長も、政府に歩調を合わせて織田空将の指摘した事実を否定した。

 そして、政府や自衛隊内では、退官している織田空将に、現役の誰がスクランブル時の状況をもらしたのかという「犯人捜し」が始められた。すると、中共は、この日本政府の否認を受けて、空自戦闘機がさきに中国戦闘機にレーダーロックオンをして仕掛けてきた、だから我々は正当な対応をした、すると空自戦闘機は赤外線の妨害弾を発射して逃げた、と公表して空中格闘戦(ドッグファイト)があったことを認めたのだ。
  
 このように、東シナ海上空における空自戦闘機(F15)と中国軍戦闘機(Su30)のドッグファイトを空自OBの織田空将がはじめに指摘し、それを、日本政府が否認し、中共は認めた。