河治良幸(サッカージャーナリスト)

 初戦でナイジェリアに5−4と敗れて迎えた2試合目のコロンビア戦。絶望的とも言えるオウンゴールでコロンビアに2点目がもたらされたのは後半20分だった。相手のスローインをマイボールにしたところから、速いパスワークで敵陣に攻め込もうとした日本だが、遠藤航の縦パスを浅野拓磨が受けたところでセンターバックのデイビ・バランタにチェックされ、ボールを拾ったマチャドを起点にカウンターのピンチを迎えた。

藤春廣輝のオウンゴール=8月7日、マナウス
藤春廣輝のオウンゴール=8月8日、マナウス
 左サイドのドルラン・パボンが素早くボールを運び、その外側に流れたにパスをミゲル・ボルハに渡すと、そのままペナルティエリア内に侵入。シュートは飛び出した中村航輔の足に当たりゴール前にこぼれたが、それをカバーに入った藤春廣輝が拾った・・・かに思われたところで直前に躓き、右足におかしな角度で当たったボールが、植田直通の咄嗟のクリアもむなしくゴールラインを割ってしまった。

 藤春自身そこからすぐに切り替えられていたかは分からないが、少なくともチームメートは下を向くことなく攻撃を仕掛けた。交代出場の大島僚太と南野拓実が右サイド寄りでパスを交換し、その外側を追い越した室屋成がトップスピードのままパスを受けようとする。この場面は相手の左サイドバックであるデイベル・マチャドにクリアされたが、ラインを押し上げていた植田が得意のヘッドでボールを跳ね返す。

 “俺たちは諦めていない”という意欲を前面に押し出す様な攻撃。思い返せば今年1月に行われた、リオ五輪の予選を兼ねたU—23アジア選手権の決勝でも後半の立ち上がりに一度は0−2とリードを許しながら、浅野拓磨と矢島慎也のゴールで同点に追い付き、最後は浅野が再び逆転弾を決めて勝利している。5失点を喫したナイジェリアとの初戦も2−5から2点を返す意地を見せている。

 U—20で世界を逃してきた世代ではあるが、手倉森誠監督に率いられたチームは決して諦めないメンタリティを備えた集団であり、この試合でも失点の直後から示した。そこから間もなく日本にとって最初の得点がもたらされる。塩谷のグラウンダーパスをFWの興梠慎三が正確なトラップから右横の南野に渡すと、大島、室屋とつなぎ、ボランチの遠藤航、再び大島、興梠、大島。そこから南野がワンタッチで絡み、最後は一瞬DFの裏を突いた浅野が左足でゴール右隅に蹴り込んだ。

 この鮮やかな仕掛けの間に、7人もの選手がアタッキングサードに入り込んでおり、この時間帯はリスクをかけても点を取るという意志がそのまま表れたゴールだった。1点差に追い上げられたコロンビアも直後に鋭い仕掛けからミゲル・ボルハが惜しいシュートを放つなど、日本の勢いに飲まれない様に堅守から攻勢をかけたが、さらに同点を狙う日本の圧力は凄まじいものがあった。