井本省吾(元日本経済新聞編集委員)

 北朝鮮の核開発、弾道ミサイル発射以来の朴槿恵大統領をはじめとする韓国政府の手の平を返したような親日姿勢に、「これほど簡単に態度を変えるとは。恥を知らないのか」と感じた向きは多かろう。

 昨年までは中国にべったりと接近し、何でも中国の言う事を聞くという態度で、日本のみならず、米国も呆れさせ激怒させていた。ところが、北朝鮮がキナ臭くなり、軍事的な緊張が高まると、ついこの間まで「歴史上最高の友好関係」とまで謳ってきた中国との関係に隙間風が吹き始め、一気に米国寄りとなった。ついでに日本とも仲直りの風情だ。風見鶏の面目躍如である。
ソウルの大統領府の会議で発言する韓国の朴槿恵大統領(聯合=共同)
ソウルの大統領府の会議で発言する韓国の朴槿恵大統領(聯合=共同)
 中国は自分勝手な北朝鮮にイヤケが指し、韓国に急接近したのだが、米国と北朝鮮の関係が冷却化すると、北朝鮮を無視はできなくなった。万一、朝鮮半島に戦争勃発となれば、何百万もの北朝鮮難民が中国に大量流入し、収拾がつかなくなる。それを恐れているから、北朝鮮の息の根を止める行為などできるはずがない。

 こうなると、中国にとって大事なのは韓国より北朝鮮。だから、いくら朴大統領が核実験を行った北朝鮮について協議しようと中国政府にもちかけても中国は事実上、これを無視した、朴大統領は怒りとともに中国の態度に見切りをつけ、一気に米国、そして日本側に大接近してきたというわけだ。

 韓国は中国にとってその程度の価値しかない国なのである。それをわからずに大統領就任以来、中国にすり寄ったところに朴大統領の甘さがある。問題はその後で、そっち(中国)がダメならこっち(米国)があるさ、と過去の経緯を無視してコロっと代わる変わり身の早さである。風見鶏であるのは政治、外交の常。ビジネスの世界でも同様で、変化に柔軟に対応しなければ生き残れるものではない。別に韓国の政治外交だけのことではない。

 だが、政治外交には基本路線というものがあるはずで、それをはずしたら、「これまでの態度とどう筋道を立てるのか」「少しは恥を知れ」と言いたくなる。

 2014年3月に日米韓首脳会談が、オランダ・ハーグで開かれた時、オバマ大統領の仲介のもと、安倍首相と、朴大統領が就任以来、初めて正式会談に臨んだが、安倍首相は韓国語も交えて接近を図ったが、朴氏は視線も合わさない無礼な態度で応じた。「反日」で凝り固まった隣国首脳の子供じみた態度が際立った。