猪野亨(弁護士)

 リオデジャネイロでは4年に一度のオリンピックが開催されています。日本人選手も活躍されているそうですが、見てみようという興味があまり沸きません。この小林よしのり氏の「反戦番組よりオリンピック」を読むまでは、このテーマで意見を述べようという気にもならなかったかもしれません。

 従来、左翼は、①何故、マスコミは日本人選手ばかりを報じるんだ、②国と国との闘いではない、と批判していたが、今年は、そのような声も聞かれないというのです。
 ①はともかく、金メダルがいくつだ、とかそのたびに大はしゃぎするマスコミの姿などには私はほとんど共感が持てません。金メダルというよりもオリンピック自体が世界的にもみても曲がり角に来ているのではないでしょうか。
閉会式を前に会場で盛り上がる人たち=8月21日、リオデジャネイロ(共同)
閉会式を前に会場で盛り上がる人たち=8月21日、リオデジャネイロ(共同)
 ロシアの選手の組織的なドーピング問題は、恐らくロシアだけではないんだろうなと思います。日本の選手はドーピングとは無縁だろうとは思いますが、国威発揚につなげたいという各国の指導者たちの思惑は常にあるわけであり、それは日本も例外ではありません。日本も外国でも自国の選手が金メダルを取ればインスタントナショナリズムが巻き起こる瞬間です。

 東京オリンピックが決まったときも高揚感ばかりが演出されていました。その東京オリンピックですら、カネのかけすぎとか利権だとかが遅まきながらクローズアップされるようになり、今となっては東京オリンピック開催を決めたことを疑問に思っている人たちも少なくはないと思います。「東京オリンピックに1兆8000億円が必要だとわかっていたら招致に賛成しましたか?

 リオデジャネイロでの開催も直前の政情の不安定化など問題も山積していました。ジカ熱の蔓延は、選手の参加意欲を削ぐものとなり、オリンピックの体をなしていないのかもしれません。国家間の対立を超えてオリンピックはあるんだと言われても、本当にそうなのかなと思うこともあります。