守谷知(埼玉県)
 日本ならびに外国で核廃棄物の最終処分の課題を抱えている。そこで日本の排他的経済水域の中にある日本海溝の底に国際核廃棄物処分場を建設すればいい。核廃棄物は水深8000mの環境で静かに眠りについてもらう。海底油田を開発するつもりで、日本海溝を開発しよう。

 政治的な問題として、核廃棄物の海洋での処分は条約で禁止されている。そのため日本海溝での処分を特例とするべく、ロンドン条約をはじめとした核廃棄物に関する条約を改正する必要がある。各国にとってみれば世界中の核廃棄物の処分場が確保できるので反対はしづらい。直接に自国で原発の運転をしていない国でも、周辺国が保管している核廃棄物も気になることだろう。

 さらに日本国内に最終処分場を持てば、世界の核廃棄物の管理に対して発言力が持てる。大変に平和的な外交力となる。反核団体には是非とも賛成していただきたい。

 日本の原発輸出に反対する理由の中に「輸出先で蓄積する核廃棄物の処分をどうするのか」というものがある。日本での核廃棄物の受け入れ態勢を整えれば、日本の原発輸出にも弾みがつくだろう。

 仮に日本が輸出しないにしても、各国の原発推進の後押しをすることには意味がある。他国で原発が運転するその分だけ化石燃料の消費や二酸化炭素の排出が抑えられる。

 原発からの核廃棄物の他にも、原子力潜水艦や核弾頭などからの軍事利用からの核廃棄物も引き受ける。なにしろロシアの老朽化した原子力潜水艦の経験 ( 外務省: わかる!国際情勢 Vol.11 ロシア極東退役原潜解体協力事業 ~核軍縮・不拡散、環境保全を目指して ) を考慮すると、中国の原子力潜水艦など敵対国の兵器であっても積極的に引き受けたい。軍事利用からの核廃棄物の引き受けには、原発と違い高い処分料を請求してもいいだろう。

 国際核廃棄物処分場の建設とはいっても、海溝の底に海流の小さい区域を探し、容器に詰めた核廃棄物を沈めておくだけである。

 海溝の底での保管は地層処分と比べて将来世代の接触を避けられる。絶対に避けられるかどうかは別にしても、地層処分では生身の人間が核廃棄物に直接触れる危険があるのに比べ、海溝の底での処分では人間が核廃棄物に直接触れることはできない。潜水艇を通して触れることはあるかもしれないが、少なくとも海底の核廃棄物は人間が直接触れることはない。

 海溝での処分に反対する理由の中で、保管する容器が壊れて核廃棄物が漏れ出したらどうするのかという課題がある。そもそも海溝の底で核廃棄物が漏れて何か問題なのか。

 プルトニウムやウランなどの重い核種は水深8000mの水の壁に阻まれて浅海まで上昇することはない。セシウムなど水より重い核種も同様である。トリチウムやクリプトンなどの軽い核種については、半減期も短く希釈もできるので目をつぶればよい。

 深海の生物と浅海の生物の間の食物連鎖について。海溝の底に生物が放射性物質を取り込んで食物連鎖を通じて浅海まで放射性物質が上がってくるかと心配するかもしれない。その点では、海溝の底から浅海への方向の食物連鎖はない。浅海の生物の死骸が深海に落下することによる上から下への方向の食物連鎖はあるが逆はない。食物連鎖を通じて深海から浅海、下から上への放射性物質の移動はない。

 また、海溝に生息する生物の生態系を破壊することになるため反対の意見もあろう。そもそも海溝の生物は浅海や地上の生物に影響もなく、仮に滅んでしまっても問題はない。例えて言うならば遠い宇宙の向こうに生息する生命体が滅ぶようなことである。

 とはいうものの最低限、将来的な資源として遺伝子の標本などは採取しておくべきだろう。