藤巻健史(経済アナリスト/参院議員)

(THE21より2016年8月6日分を転載)
 「自分の資産を日本円だけで持っている人は、近い将来、大損するどころか、日々の生活すらままならなくなる」――そんなショッキングな指摘をするのは、参議院議員であり、経済評論家の藤巻健史氏だ。一体どういうことなのか。また、私たちはそのようなリスクにどう備えておけば良いのだろうか。発言の真意と、生活苦に陥らないための対処策をうかがった。

今後10年の間に日銀が倒産する!?

 今後10年、世界経済や日本経済に誰も予想していなかったことが起きる可能性は非常に高いと、藤巻氏は予言する。

 「過去10年間は、世界経済や日本経済に誰も想像していなかったことが起こり続けた10年間でした。ギリシャ危機や英国のEU離脱で、EUやユーロが崩壊する兆しが見えたのは、その代表的な例。日本が史上初のマイナス金利政策を取ったことも、10年前は誰も予想していなかったでしょう。私はEUが誕生したときから『いつかEUやユーロは崩壊する』と言い続けてきたし、日本の財政を立て直すためには『一刻も早くマイナス金利政策をすべきだ』と言い続けてきましたが、変人扱いされていましたからね(笑)。しかし、変人扱いされた私が予測したことが現実になり続けている。今後も、常識では考えられないようなことが、いくつも起きるでしょう」

 この先10年間で、具体的に何が起こるのか。藤巻氏はズバリ「日本銀行の倒産」を予言する。「『日銀は民間の銀行ではない。倒産するはずがないじゃないか』と普通の人は思うでしょうが、私は本気でそう思っています。なぜなら、日銀は引いてはいけない引き金を引いてしまったからです」。その引き金とは、アベノミクスで実施された「異次元の量的緩和」だ。「国が発行する国債を日銀が買い取ることで、市中のお金をジャブジャブと増やす……。この政策によって、株価は上がり、景気は上向いたように見えますが、それはあくまで短期的な視点で見た話に過ぎません。長期的に考えれば、異次元の量的緩和は、三途の川を渡るような行為です」
 

ハイパーインフレはすぐそこに来ている

 なぜ藤巻氏は、異次元の量的緩和をそれほどまでに危険だと考えるのか。それは、量的緩和政策には「出口がない」からだ。

 「日銀の黒田総裁は、消費者物価指数が2%になったら量的緩和をやめると言っていますが、実際には2%になってもやめられないでしょう。量的緩和をやめる、つまり日銀が国債を買い上げるのをやめたら、国債は大暴落するからです。昨年度、日本国債は約152兆円が発行されましたが、そのうちの約110兆円は日銀が買い上げています。これだけの買い手がいなくなると、代わりの買い手などいませんから、国債は暴落を免れません。すると、国はそんな高い金利では入札できないのでお金が足りなくなり、財政は破綻してしまいます」