[前向きに読み解く経済の裏側]


塚崎公義 (久留米大学商学部教授)


 東京都心のマンション価格が高騰しています。一部ではバブル期よりも高い値がついた物件もあるようです。これはバブルなのでしょうか? 今回は、バブルというものについて考えてみましょう。

バブルには二種類ある


 バブルというと、「欲の皮が突っ張った愚か者が馬鹿げた投機熱に踊らされている」というイメージがありますね。たしかに、バブルの歴史には、チューリップの球根が現在の貨幣価値で何千万円もした、といった記載がありますから、そういうイメージが持たれるのでしょう。しかし、最近ではそうしたバブルは見かけません。「誰もが値段が高すぎる事を知りながら、明日は今日よりさらに高くなると期待して買っている」というバブルは、経済学では「合理的バブル」と呼ばれているようですが、仮に発生したとしても、早い段階で政府がバブル潰しをするからです。
iStock
iStock
 じつは、バブルには2種類あって、最近のバブルは誰もバブルだと気付かない間に膨らむバブルなのです。「今がバブルなのか否かは、バブルが弾けるまでわからない」と言われるゆえんです。たとえば日本のバブルは、「日本経済は世界一になったのだから、株や土地が高いのは当然だ」という事で、人々はバブルだと思わずに取引をしていたのです。

 今から思えば、バブルだったわけですが、当時は日本経済を動かしている賢い人々の中にも、「急いで買わないと自宅が持てなくなる」と言って自宅を買った人が大勢いました。バブルであると解っていたら、バブルが弾けてから買えば良いのですから、自宅を買うはずはありません。つまり、当時は賢い人々にもバブルだとはわからなかったのです。筆者はこうしたバブルを「惚れ込み型バブル」と呼んでいます。