田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 民進党の代表選が始まった。立候補したのは、蓮舫代表代行と、前原誠司元外相、玉木雄一郎国対副委員長の三名だ。この選挙戦を通して、民主党時代から続く党勢の低迷に歯止めをかけたい狙いは、三者共通するものだろう。民進党とその支持者たちにとっても、これを機会に国民の間で根強い「民主党≒民進党はダメ」という空気を換えたいと当然思っているはずだ。しかし私見では、民進党への支持率の低さは、国民の合理的な判断が大きく作用した結果なのだ。民主党政権時代の経済運営も最低だったが、現在立候補している人たちの政策公約もまた同じ過ちを繰り返すことが確実の無残な内容である。そのことを国民の多くは見逃してはいない。
民進党代表選への出馬を表明し記者会見する(左から)玉木雄一郎国対副委員長、前原誠司元外相、蓮舫代表代行=9月2日、東京・永田町の党本部
民進党代表選への出馬を表明し記者会見する(左から)玉木雄一郎国対副委員長、前原誠司元外相、蓮舫代表代行=9月2日、東京・永田町の党本部
 蓮舫氏、前原氏の選挙用のチラシや出馬会見時の配布資料、そして玉木氏の直近でのブログでの経済関係の発言などから、三人に共通する経済政策に関する共通項を摘出することができる。一言でいうと、消費増税路線。またの名は「緊縮病」である。

 三氏さまざまな表現を使っているが、基本的には民主党政権のときの基本路線と変わらない。経済政策的には財務省主導による消費増税路線であり、その意味では民主党政権の崩壊をいささかも反省していない見事なブレのなさである。

 例えば前原氏は、「まず身を切る改革・行政改革。その上で希望と安心のALL for ALL 『尊厳ある生活保障』」と題された出馬会見時(8月26日)のときの資料をみてみると、消費税を10%に引き上げるなどしたうえで、教育や保育の充実を目指すとする。まともなマクロ経済政策(総需要不足の経済低迷時には積極的な金融・財政政策を行うこと等)に否定的、もしくは完全に無視する、まさに民主党政権時代の誤った経済政策そのものである。

 蓮舫氏も同様であり、選挙用のチラシをみると、2020年度のプライマリーバランスの黒字化へのコミット、「社会保障充実と身を切る改革・行革の実行を前提にする」消費増税路線を採用している。配偶者控除の見直し、法人税減税や所得税の見直しなども三氏ほぼ共通している。

 憲法観や安全保障について、出馬した三氏はかなり共通している。実際には党内でも憲法についての意見はバラバラなのだが、なぜか民進党の経済政策については、ほとんどの国会議員が共通する意見(財務省主導による消費増税路線=緊縮病)を採用しているのが興味深い。興味深いと書いたが、率直にいって野田政権の失敗にこりない「緊縮病ゾンビ」の群れにしか思えない。

 玉木氏の具体的な政策集的なものはこの原稿を書いている段階では(出馬がギリギリになったためもあるのか)ネットでも見当たらない。だが彼の過去の発言をみても、消費増税への執着は明瞭である。