近藤駿介(評論家、コラムニスト)

 「公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が1日発表した2015年10~12月期の運用成績は、4兆7302億円の黒字だった。期間収益率は3.56%で15年7~9月期(マイナス5.59%)から改善。国内外の株式相場が反発したことが寄与し、2四半期ぶりにプラスとなった」(2日付日本経済新聞 「公的年金 運用益4.7兆円」)

 GPIFが運用する公的年金の2015年10~12月期の運用状況が明らかになった。2015年7~9月期に7.9兆円の損失を出したが、10~12月期にその約6割を取り戻した格好。しかし、喜んでばかりはいられない。2016年初からの世界的株価の下落傾向を受け、「現時点で運用収益がマイナス基調」(1日付日経電子版)となっているからだ。

 実際に、発表された2015年末時点での運用資産額(139兆8249億円)を基に、ポートフォリオが維持されている等の仮定をおいて試算すると、2016年2月末時点での運用資産額は131.5兆円前後と、2015年末から約8.3兆円減少している可能性が高い。
 運用収益が約7.9兆円の赤字だった2015年7~9月期の運用資産額の減少幅は約6兆円であった。このことと比較しても、年明け以降約8.3兆円運用資産額が減っているとしたら、赤字は2015年7~9月期の7.9兆円を遥かに上回る規模になる可能性が高い。

 また、2015年3月末時点の運用資産額は約137.5兆円であるから、2015年度を通しても運用資産は6兆円程減少していると推察される。さらに、2015年6月末の141.1兆円と比較すると10兆円少なく、2014年9月末の130.9兆円とほぼ同規模まで資産が減って来ているということである。

 こうした公的年金の運用状況は大いに問題ではあるが、その問題は赤字だ、黒字だという運用状況だけではない。「GPIFの三石博之審議役は1日の記者会見で『短期で見れば収益のブレは大きくなるが、年金財政上、必要な額を下回るリスクは小さい』と強調した」(同日本経済新聞)

 GPIFは公的年金の運用状況について「年金財政上、必要な額を下回るリスクは小さい」としている。そして同じような認識は安倍総理も国会答弁で示している。一般的に、確定給付型企業年金などは5年ごとの財政検証によって、将来年金受給者に支払う必要のある金額を推計し、実際に持っている年金資産が十分かどうかの判定を行っている。