田中俊英(一般社団法人officeドーナツトーク代表)


湯浅氏と藤田氏の解説


 NHKの貧困女子高校生番組は反響を呼び、バッシングも擁護も含め、結局は「相対的貧困」について理解が進んだと僕は解釈している。
 擁護しつつ冷静に解説したのはやはり湯浅誠氏で(NHK貧困報道”炎上” 改めて考える貧困と格差)、氏は大学の先生になってしまい微妙に心配していたものの、最近はやっと「前線」に戻ってきたようだ。

 また、藤田孝典氏の解説も明晰であり(「1000円ランチ」女子高生をたたく日本人の貧困観)、湯浅氏と藤田氏の擁護解説を読めば、この問題のポイントは理解できる。
念のため、湯浅氏の末文を引用しておこう。


 今回のNHK貧困報道“炎上”は、
 登場した高校生と番組を制作したNHKが「まとまった進学費用を用意できない程度の低所得、相対的貧困状態にある」ことを提示したのに対して、
 受け取る視聴者の側は「1000円のキーボードしか買えないなんて、衣食住にも事欠くような絶対的貧困状態なんだ」と受け止めた。
 そのため、後で出てきた彼女の消費行動が、
 一方からは「相対的貧困状態でのやりくりの範囲内」だから「問題なし」とされ、
 他方からは「衣食住にも事欠くような状態ではない」から「問題あり」とされた。
 いずれにも悪意はなく(高校生の容姿を云々するような誹謗中傷は論外)、
 行き違いが求めているのは、
 衣食住にも事欠くような貧困ではない相対的貧困は、許容されるべき格差なのか、対処されるべき格差なのか、
 という点に関する冷静な議論だ。
 そしてその議論は、どうすればより多くの子どもたちが夢と希望を持てて、より日本の発展に資する状態に持っていけるか、という観点でなされるのが望ましい。
 その際には、高度経済成長を経験した日本の経緯からくる特殊性や、格差に対する個人の感じ方の違いを十分に踏まえた、丁寧な議論が不可欠だ。